![]() 心不全の治療用のrna干渉
专利摘要:
本発明は、心筋細胞のアデノ随伴ウイルス(AAV)トランスフェクションを用いてフォスフォランバン(PLB)の発現又は活性を低下させることを通じて不完全な心臓内Ca2+恒常性を調節することによって、心不全を治療するためのターゲットされたRNAiに関する。心室性不整脈を低減する方法及び被験体の心不全からの生存率の全般的な改善のための方法も開示する。さらに、本発明は、RNAiによる治療に対する感受性の分析に使用可能な方法であって、医薬品組成物と、キットと、及び、RNAi配列を含むベクターとを含む方法を提供する。なし 公开号:JP2011512326A 申请号:JP2010540878 申请日:2008-12-23 公开日:2011-04-21 发明作者:ハジャー,ロジャー,ジェイ.;フェヒナー,ヘンリー;ポラー,ヴォルフガング,ツェーハー. 申请人:ナノコア セラピューティクス,インコーポレイテッドNanocor Therapeutics,Inc.; IPC主号:A61K31-7088
专利说明:
[0001] 本発明は、広くは心臓病を治療する方法に関し、より詳細には、アデノ随伴ウイルス(AAV)、ターゲットAAV9ベクターによる送達を含む、RNAiを用いてフォスフォランバン(PLB)を低下させて慢性心不全を治療する方法、及び、慢性心不全のRNAiによる治療に対する感受性を診断する方法に関する。] 背景技術 [0002] 現在、200万人を超えるアメリカ人が心不全に罹患しており、人口の高齢化につれて経済的損失及び人的損失が増大し続けるであろう。うっ血性心不全は、毎年400,000人を超える新規患者が報告されており、65歳以上の患者における最も一般的な入院患者の診断である。5年以内の死亡率が60%であり、致命的な不整脈(心突然死、SCD)による23〜52%の死亡がみられ、予後が悪い。] [0003] 心不全とは、心臓血液拍出量を生理学的要求に一致させることができないことである。従って、心不全は、特異的疾患ではなく、虚血性心疾患、心筋症(膨張性、拘束性、肥大性)、弁膜性心疾患及び慢性高血圧、並びに、糖尿病を含む大部分の心臓病の終末点を表す症候群である。さらに、心不全の症状は、急性心筋梗塞、心臓手術後(スタンニング、低体温麻酔)、又は、血管再生治療後(すなわち、再潅流障害、血栓溶解療法後、経皮経管冠動脈形成術又は冠状動脈バイパス移植)のような事例において、急性症状(すなわち、急性心不全又は心源性ショック)を呈することもある。] [0004] 収縮の低下は、うっ血性心不全の主たる特徴である。また、心筋細胞にカルシウムを貯蔵する筋小胞体(SR)は、興奮と収縮との組み合わせと同様に心筋収縮能において重要な役割を果たしている。収縮力の発生は、筋小胞体に蓄積されたCa2+の量に依存している。筋小胞体カルシウムATPアーゼ(SERCAa)の存在量の増加又はフォスフォランバン(PLB)のリン酸化の増加、及び/又は、PLB存在量における減少は、筋小胞体によるCa2+取り込みの増加に寄与し、それによって心筋細胞収縮を強化する。] [0005] PLBは、筋肉に特異的なリンタンパク質である53個のアミノ酸である。脱リン化されたPLBは、SERCA2aに結合し、心筋の筋小胞体に入るカルシウム量を調節する。プロテインキナーゼAによってリン酸化されると、SERCA2aのPLBの阻害が再び生じ、筋小胞体へのカルシウム流入が増加し、筋肉収縮が強まる。] [0006] 心筋遺伝子療法は、虚血性心筋症、うっ血性心不全及び悪性不整脈を含む多数の心臓血管疾患の治療に用いることができる。心筋遺伝子送達に有用なベクターは、冠動脈又は静脈洞への直接的な心筋内注射又は点滴後に、様々な遺伝子組み換えを用いた心筋細胞の効率的で安定的な形質導入を可能にするであろう。例えば、左心室の心臓筋に直接注射したプラスミドDNAベクターは、注射領域近傍の心筋細胞によって6ヶ月間発現した。しかしながら、このアプローチの治療的有用性は、心筋細胞への形質導入の効率が低いこと(注射領域の心筋細胞の0.1%〜1.0%)によって限定的である。] [0007] 複製欠損アデノウイルス(RDAd)ベクターの心筋内注射及び冠動脈内注射の両方を用いて、インビボにおいて、齧歯動物、ウサギ及びブタの心筋細胞に、効率的に形質導入した。しかしながら、アデノウイルスを介した遺伝子導入の実現可能性は、ウイルス及び外来の導入遺伝子タンパクに対する免疫反応によって限定されている。この免疫反応は、著しい心筋炎症(ウイルスで形質導入した細胞が感染から30日以内に除去された)を引き起こし、それによって免疫応答性の宿主において一時的な組み換え遺伝子発現をもたらす。] [0008] 本発明は、心筋細胞のアデノ随伴ウイルス(AAV)トランスフェクションを用いて、フォスフォランバン(PLB)の発現を減少させて不完全な心臓のCa2+恒常性を調節することによって重篤な心不全を治療するためのRNAiに関する。上記方法は、開示されている方法を用いて、対象の心不全の生存率の全般的な改善だけでなく、心室性不整脈を低減することにも関する。さらに、本発明は、RNAiによる治療に対する感受性の診断に用いることができる方法を提供し、医薬品組成物、キット、及び、実質的にPLB活性を低下させるRNAiからなるベクターを含む。] [0009] このようにして、本発明は、対象の心不全を治療する方法を提供する。上記方法は、必要性がある対象にRNAi発現カセットを含むベクターを投与するステップを含み、前記カセットは、その発現生成物がフォスフォランバン(PLB)活性を低下させるRNAi配列を、対象の心不全を治療し、前記ベクターの投与前よりも対象の収縮機能を改善するのに有効な量で具えている。一実施形態においては、前記ベクターがウイルス粒子である。他の実施形態においては、前記ベクターがプラスミドである。他の実施形態においては、前記ウイルス粒子がパルボウイルスである。他の実施形態においては、前記パルボウイルスがAAV血清型9を含むアデノ随伴ウイルス(AAV)である。さらに別の実施形態においては、前記RNAi発現カセットが配列番号1に記載されているヌクレオチド配列を含む。関連実施形態においては、前記配列番号1がAAV末端反復に隣接している。他の実施形態においては、PLB遺伝子発現が少なくとも10%抑制される。他の実施形態においては、前記RNAi配列が配列番号2に記載されているターゲット配列を含む。そのようなものとして、前記RNAi発現カセットは、緊縮条件下でPLB遺伝子のヌクレオチド配列にハイブリダイズする第1ヌクレオチド配列、及び、第1ヌクレオチド配列の相補的な逆方向反復配列であり、第1ヌクレオチド配列にハイブリダイズしてヘアピン構造を形成する第2ヌクレオチド配列を含む、少なくとも1つのRNAコードする。一実施形態においては、RNAループ構造によって2つのヌクレオチド配列が結合される。他の実施形態においては、対象がヒトなどの哺乳類である。] [0010] 本発明は、組み換えアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター及び薬学的に許容可能な担体を含む医薬品組成物であって、前記ベクターは、そのRNA発現生成物がフォスフォランバン(PLB)の活性及び/又は発現を低下させるRNAi発現カセットを具えている医薬品組成物をさらに提供する。一実施形態においては、RNAi発現カセットのRNA発現生成物は、緊縮条件下においてPLB遺伝子mRNAのヌクレオチド配列にハイブリダイズするヌクレオチド配列を含み、前記緊縮条件は、限定されないが、50%ホルムアミド、5×SSC、及び、1%SDSを具える溶液中で42℃でハイブリダイズさせるステップと、0.2×SSC及び0.1%SDSを具える溶液中で65℃で洗浄するステップとを含む。他の実施形態においては、前記RNAi発現カセットが配列番号1に記載されているヌクレオチド配列を含む。他の実施形態においては、前記RNA発現生成物が配列番号2に記載されているターゲット配列を含む。他の実施形態においては、前記組成物は、静脈内投与、動脈内投与、脳室内投与又は心臓弁灌流に使用できる。] [0011] 本発明は、少なくとも1つのAAV末端反復を含むアデノウイルス関連ウイルス(AAV)ベクターであって、前記ベクターがRNAi発現カセットを具え、前記RNAi発現カセットの発現生成物がフォスフォランバン(PLB)mRNAの発現又はPLB活性を低下させるベクターをさらに提供する。一実施形態においては、RNAi発現カセットのRNA発現生成物が、緊縮条件下においてPLB遺伝子mRNAのヌクレオチド配列にハイブリダイズするヌクレオチド配列を含む。他の実施形態においては、前記RNAi発現カセットが配列番号1に記載されているヌクレオチド配列を含む。他の実施形態においては、前記RNA発現生成物が配列番号2に記載されているターゲット配列を含む。] [0012] 本発明は、筋小胞体(SR)中へのカルシウム取り込みを増加させる方法をさらに提供する。前記方法は、筋組織サンプルをアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターに接触させるステップを含み、前記ベクターは、RNAi発現生成物をコードするポリヌクレオチド配列を含み、それによって、筋小胞体におけるカルシウム取り込みを増加させ、ベクターとの接触前の収縮と比較して心筋細胞の収縮を強める。一実施形態においては、RNAiは、緊縮条件下においてPLBターゲット遺伝子mRNAのヌクレオチド配列にハイブリダイズするヌクレオチド配列を含む。他の実施形態においては、前記ベクターが配列番号1に記載されているヌクレオチド配列を含む。他の実施形態においては、前記RNAiが配列番号2に記載されているターゲット配列を含む。他の実施形態においては、前記RNAi発現カセットのRNAコード領域がPLB遺伝子発現を下方制御する。他の実施形態においては、前記RNAiベクターがPLBターゲット遺伝子のRNAコード領域と少なくとも約90%同一の配列を含む。] [0013] 本発明は、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを含むキットであって、前記ベクターが、フォスフォランバン(PLB)mRNA又はPLB活性の発現を低下させるRNAi発現生成物をコードするポリヌクレオチド配列、1つ以上のバッファー、これらの成分を用いる際の説明書、及び、これらの成分を具える包装容器を具えるキットをさらに提供する。ある実施形態においては、前記RNAiが緊縮条件下でPLBターゲット遺伝子mRNA転写物のヌクレオチド配列にハイブリダイズするヌクレオチド配列を含む。] [0014] 本発明は、対象の細胞内カルシウムの調節異常に起因する慢性心不全(HF)のためのRNAiによる治療に対する対象の感受性を診断する方法をさらに提供する。前記方法は、対象の筋組織サンプルをアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターに接触させるステップであって、前記ベクターがフォスフォランバン(PLB)mRNAの発現又は活性を低下させるRNAi発現生成物をコードするポリヌクレオチド配列を含むステップと、前記筋組織サンプルを前記AAVベクターに接触させる前及び後の組織サンプルにおけるカルシウムATPアーゼポンプ(SERCA)の活性を測定するステップであって、SERCA活性の増加は、RNAiによる心不全治療に対する対象の感受性と相関しているステップと、を具える。] [0015] 本発明は、慢性心不全(HF)を有する対象の生存を改善する方法をさらに提供する。上記方法は、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを投与するステップを含み、前記ベクターが、細胞中のフォスフォランバン(PLB)mRNAの発現の減少及びPLBタンパクの量の減少をもたらすRNAi発現生成物をコードするポリヌクレオチド配列を含み、前記RNAiが、緊縮条件下においてPLBターゲット遺伝子mRNAのヌクレオチド配列にハイブリダイズするヌクレオチド配列を含む。一実施形態においては、前記ベクターが収縮機能を改善し、それによって対象の生存率を改善する。他の実施形態においては、前記AAVが血清型9である。] [0016] 本発明は、対象の心室性不整脈を低減する方法をさらに提供する。上記方法は、フォスフォランバン(PLB)mRNAの発現又は心室機能を改善するPLB活性を低下させるRNAi発現生成物をコードするポリヌクレオチド配列を具えるウイルス粒子を投与するステップを具え、それによって、対象の心室性不整脈を低減させる。一実施形態においては、このウイルス粒子はAAV9である。] 図面の簡単な説明 [0017] 図1Aは、心不全(HF)治療用のRNA干渉(RNAi)ベクターの開発における様々なベクターによるターゲット抑制を実証するノーザンブロットのパネルを示す図である。初代新生児ラット心筋細胞(PNCM)におけるshRNA発現ベクターのターゲット抑制効果の比較を示す。レーン上に与えられている細胞当たり粒子容量(p/c)で各ベクターを用いて治療した後に、それぞれ第5日(上部)又は第10日(下部)に細胞を回収した。次いで、ラットPLB特異的プローブを用いてノーザンブロットを行った。そのブロットを縞状にし、β−アクチン−特異的プローブを用いて再ハイブリダイズさせて、均等なRNAローディングを確認した。レーン1〜18は、アデノ随伴ウイルス(AAV)をベースとするベクターAAV−shPLB(レーン1−6)、AAV−shPLB−CMV—β−イントロン(レーン7−12)、及び、AAV−shPLB−CMV−GFP(レーン13−18)に対するRNAi媒介性PLB−mRNA下方制御の量依存性を示す。レーン19−24は、AAV−shGFPを用いた処理後に、非特異shRNAについてのコントロールがPLB−mRNA発現をもたらすことを示している。AAV−shGFPは、緑色蛍光タンパク質(GFP)をターゲットにするshRNA配列を生成する(レーン19−24)。AAVとの比較のために、アデノウイルスベクターAdV−shPLB(レーン25−28)を用いた。AdV—shPLB(レーン25−28)と同様に、4×103p/c(レーン1及び2)の最低用量でrAAV−shPLBを用いて、第10日までにPLB−mRNAを98%以上除去した。rAAV−shPLBベクター(レーン7−12)中にCMV−GFP発現カセットを組み込んでインビボ画像化によって容易に検出できるタグをベクターに与えることにより、感染細胞における強いGFP発現をもたらしたが(図示せず)、予想外にPLB遺伝子抑制効果を消失させた。CMV−β−イントロンカセットの組み込み(レーン12−18)の効果は、類似していたが、それほど顕著ではなかった。] 図1A [0018] 図1Bは、図1Aのベクターによって生産された細胞内shRNA量を示す図である。CMV−GFPカセットの存在下においては、shPLB生成が消失した(レーン13−18)。一方で、付加配列がないU6−shPLBベクターは、5日間(レーン1−3)及び10日間(レーン4−6)安定した発現を示した。AdVshPLBによって、第5日に非常に多量のshPLBが生成され、その後、NRCMにおいて急速に減少した。] 図1A 図1B [0019] 図1Cは、アデノウイルス及びAAVベクターの詳細地図を示す図である。AAV−shPLBは、AdV−shPLB及びそれらの対応shGFPコントロールベクターのようなU6−shRNA発現系を有する。さらに、CMVを含む4つのベクターは、U6−shRNA配列と頭を付き合わせる方向で、CMV−GFPを有するカセット又はCMV−β−イントロンカセットを運び、ウシ成長ホルモン(bgH)末端シグナルによってそれらから分離される。] 図1C [0020] 図1Dは、NRCM処理中におけるPLBタンパクのウエスタンブロット解析を左のパネルに示し、ベクター添加後第3日、第5日及び第7日におけるその定量を右側に示す写真及び図である。AdV−shPLB及びrAAV6—shPLBは、細胞内PLBを、第7日にベースラインのそれぞれ9%及び13%まで下方制御する結果となった。] 図1D [0021] 図1Eは、未処理細胞と区別することができない推移を有するAAV9−shGFPグループと比較して著しく高い振幅及び促進された推移動態(短縮されたTTP及びτ)を示したAAV9−shPLB処理中のNRCMにおける[Ca2+]i推移を示す図である。AdV−shPLB処理もAdV−shGFPコントロールよりも著しく高い振幅をもたらした。AAV9グループとは対照的に、TTPは、τに差がないAdV−shPLB対AdV−shGFPグループにおいて長くなった。] 図1E [0022] 図1Fは、図1Eに示されている[Ca2+]i推移の統計的評価を示す図である。*は、p<0.05を示し、**は、p<0.01を示す。] 図1E 図1F [0023] 図2Aは、インビボにおける心不全のRNAi治療用のプロトコルを示すフロー図である。インビボにおけるRNAi治療で用いる動物を最初に2つのグループ:大動脈バンド(TAB)を有する56匹の動物の第1グループ、及び、疑似手術した12匹の第2グループに分けた。TAB動物において、25〜30週を経過させることで、心臓RNAiベクター移入前の連続心臓超音波検査による評価に比べて、左心室(LV)が拡張し、短縮率(FS)が25%減少した。TABを受けた最初の56匹のうちの40匹の動物が生存した。これらの動物を分割して、Ad−shGFP(n=10)又はAd−shPLB(n=10)又はコントロールベクターAAV9−shGFP(n=10)又はAAV9−shPLB(n=10)のいずれかを受けさせた。ベクター注射は、200μlのアデノウイルス(3×1010pfu)又はAAV9(5×1011ベクターゲノム)ベクター溶液を含む22Gのカテーテルを通して実行した。カテーテルを左室心尖部から大動脈起始部に前進させ、大動脈及び主肺動脈をカテーテル部位に対して遠位で40秒間締め、溶液を注射した。心臓超音波検査、チップカテーテル、形態測定及び組織学的検査による結果評価を、アデノウイルスベクターグループにおいて1カ月後に、及び、AAVベクター処理グループ(図3A−3Fを参照されたい。)において3カ月後に行った。1カ月後、AdVグループにおいては10匹中8匹及び10匹中9匹動物が生き残った。3カ月後、rAAV−shPLBにおいては10匹中9匹が生き残り、rAAV−shGFPグループにおいては10匹中6匹が生き残った。心臓で発現されるマイクロRNAに関するさらなる研究をこれらのグループにおいて同時に行った。] 図2A 図3A [0024] 図2Bは、緑色蛍光タンパクを発現するrAAV9−GFPベクター(下部)、又は、食塩水(上部)を静脈内に注射したラットの心臓を示す写真である。注射1カ月後に、心臓を切除し、GFPイメージングによって視覚化した。rAAV9−GFPグループの心臓断面において概ね均一なシグナルが認められ、食塩グループにおいてはシグナルが認められなかった。] 図2B [0025] 図2Cは、rAAV9−GFPで処理したラットの心臓のGFP螢光における概略示す写真であり、1カ月で表面積の90%に届いている。] 図2C [0026] 図2Dは、ラットにrAAV9−GFPを静脈内注射した1カ月後の様々な器官におけるGFPの免疫組織化学染色を示す写真である。アデノウイルスベクター(AdV−GFP)の静脈内注射後には心臓においてGFPは検出されなかったが(a)、rAAV9−GFP処理は、概ね均一な強いGFP発現(b)及び(c)をもたらした。GFP免疫反応が完全にない(丸で囲まれている)領域はほとんどなく、他は均一な細胞質染色(丸で囲まれている)を示している。RNAiベクターから生成されるshRNAとは対照的に、1カ月以上に渡る高発現が細胞において安定なGFPの沈着物(矢印)の形成に明らかにもたらした領域において、染色が特に濃かった。それぞれの細胞において発現のばらつきがあり、平均70%の心筋細胞が免疫組織化学によって陽性であった。(e)は、細胞小片のかすかな染色を有する骨格筋を示す。一方で、肝臓はそれぞれの細胞が顕著なシグナルを示しているだけであった(d)。肺においてはシグナルは認められなかった。心臓に対するrAAV9−GFP発現の最高親和性を裏付けるウエスタンブロット分析によるGFP定量と共にAAV9分散に関するさらなるデータを図2Jに示す。肝臓及び骨格筋では少量の発現がみられ、肺では非常に弱い発現しかみられなかった。] 図2D 図2J [0027] 図2Eは、rAAV9−GFPの静脈内注射の1週間後及び4週間後の肝臓のヘマトキシリン—エオシン染色が毒性の根拠を示さないことを示す写真である。rAAV−shRNAベクターにも肝毒性がなかった。] 図2E [0028] 図2Fは、shGFPコントロールグループと比較して、AdV−shPLB治療の1カ月後及びrAAV9−shPLB治療の3カ月後の心臓のPLBタンパクが著しく減少したことを示すノーザンブロットのパネルの写真である。NCX及びGAPDHタンパクは変化しなかった。SERCA2aは、シャムと比較して、心不全であったshGFPグループにおいて減少した。一方で、SERCA2aは、shPLBグループの両方において有意に増加した。] 図2F [0029] 図2Gは、様々な処理グループのウェスタンブロットの統計的評価を示す図である。*は、AdV−shGFPと比較してp<0.05であることを表す。♯は、rAAV9−shGFPと比較してp<0.05であることを表す。] 図2G [0030] 図2Hは、rAAV9−GFPを静脈内注射した1カ月後の心臓のGFP発現を示す写真である。左側の4枚のパネル(rAAV9−GFP)は、一次GFP抗体を伴っており、右側の2枚のパネル(コントロール)は、一次GFP抗体を伴っていない。AAV9分散に関する更なるデータは、心臓に対するrAAV9−GFP発現の最高親和性を示している。肝臓及び骨格筋では少量の発現がみられ、肺では非常に低かった。] 図2H [0031] 図2Iは、rAAV9−GFPを静脈内注射した1カ月後の他の器官におけるGFP発現を示す写真である。一次GFP抗体を用いて左のパネル(RAAV9−GFP)を示す。対して、抗体を用いないものを右のパネル(コントロール)に示す。] 図2I [0032] 図2Jは、rAAV9−GFPを静脈内注射した後の様々な器官におけるGFP定量を免疫ブロットによって示す写真及び図である。] 図2J [0033] 図3Aは、心不全に対するRNAi治療の機能的及び形態的な効果を証明する一連の図である。心拡張の左室機能の血行動態パラメーターに対するRNAi治療の影響がここに要約されている。TAB後のラットにおける高左室充填圧(LVEDP)は、shGFPコントロール(レーン2及び4)と比較して、shPLBベクター(レーン3及び5)によって有意に低下した。圧力低下の最大速度(−dP/dt)はshPLB治療によって有意に上がり、等容性弛緩時定数Tauも同様であった。3カ月のrAAV−shPLB治療(レーン5)の後に値が正常範囲(レーン1)に戻った。] 図3A [0034] 図3Bは、図3Aと類似した収縮期の左室機能に対する治療効果を示す一連の図である。心臓超音波検査によってrAAV−shPLB治療の3か月後に短縮率(FS)が正常化されたことが示されている一方で、FS改善は顕著であるが、AdV−shPLBに対してはそれほど顕著でなかった。血圧上昇の最大速度(+dP/dt)は、コントロールと比較して改善された。収縮期血圧(LVSP)も同様であった。] 図3A 図3B [0035] 図3Cは、TABで誘導された左室肥大(レーン2及び4)を表す死後形態計測を示す一連の図であり、記録された左室重量及び左室/体重(LV/BW)比はベースライン(レーン1)の約2/3超である。後者は、AdV−shPLB又はrAAV9−shPLB(レーン3及び5)を用いた治療の1カ月後又は3カ月後に正常範囲内に減少した。心臓肥大は両方のベクタータイプによって有意に減少した。] 図3C [0036] 図3Dは、図3Cと同様に、心臓形態の超音波心臓検診データを要約する一連の図であり、形態測定の調査結果を裏付けている。] 図3C 図3D [0037] 図3Eは、心不全動物におけるRNAi治療後の心臓コラーゲン量を示す図である。rAAV9−shRNA治療によって3カ月で線維化が有意に減少する結果となった。コントロールベクターには効果がなかった。] 図3E [0038] 図3Fは、いずれの治療方法によっても心筋細胞直径の有意な低下が誘導されることを示す図である。] 図3F [0039] 図3Gは、RNAi治療中における心臓のBNPmRNA量を示す図である。‡は、AAV9−shGFP対AAV9−shPLBについてp<0.05であることを表す。¶は、AdV−shGFP対AdV−shPLBについてp<0.05であることを表す。] 図3G [0040] 図4Aは、RNAi治療中における細胞内マイクロRNAの評価を示す一連の図である。図に示されているように、インビボ治療(AAV−shPLB、AAV−shGFP、AdV−shPLB)用に後で用いたベクターでは、治療中に心臓で発現される5つのマイクロRNA(miRs)の細胞内量は、治療していないPNCMと比較して変わらなかったが、CMVプロモータを有するベクターは、これらの細胞内量を有意に変化させた。] 図4A [0041] 図4Bは、標準PNCM培養条件下で得られた図4Aのデータとは対照的に、細胞内miRNA量が肥大症誘導医薬品の存在下で有意に変化したことを示す一連の図である。] 図4A 図4B [0042] 図4Cは、RNAi治療中における心臓のmiRNA−1及びmiRNA−133量を示す一連の図である。‡は、AAV9−shGFP対AAV9−shPLBについてp<0.05であることを表す。¶は、AdV−shGFP対AdV−shPLBについてp<0.05であることを表す。] 図4C [0043] 図5Aは、shRNA生成に対するCMVプロモータの干渉を示す図である。図に示されているように、図1A及び図1Bにおいて分析した異なるAAVベクターに加えて、AAV−shPLB−CMV−GFP(機能性GFPカセットを有する)対AAV−shPLB−GFP(CMVプロモータがない)、及び、AAV−shPLB−CMV−β−イントロン対AAV−shPLB−β−イントロン(CMVなし)で直接的にベクターを比較する。] 図1A 図1B 図5A [0044] 図5Bは、AAV6shPLB−CMV−GFPマーカベクターと共にインキュベートした5日後の培養心筋細胞の単分子層を示す写真であり、AAV6偽型に対する非常に高いトランスダクション率と一致する。] 図5B [0045] 図5Cは、MCVから、終結シグナルを経て、RNAiを媒介する短ヘアピンの適切な形成を損なう非常に短いshRNA配列までのリードスルーにおけるU6−shPLB−bGH方向の乱されたshRNA生成についてのあり得る原因を示す図である。] 図5C [0046] 図5Dは、RNAi治療中のNRCMにおけるカルシウム恒常性の変化を示す一連の図である。] 図5D [0047] 図5Eは、RNAi治療中のNRCMにおけるカルシウム恒常性の変化を示す一連の図である。] 図5E [0048] 図6は、心不全を有し、AAV9/PL−RNAiを用いて治療したラットにおける改善された生存率を示す図である。図6は、ベクターを単独で用いるか又はGFPと共に用いたコントロールと比較して、AAV9/PL−RNAiの発現を用いたRNAi遺伝子導入によるフォスフォランバンの阻害が、圧負荷されて心不全への移行段階にある肥大症を有するラットの生存率に与える効果を示す。] 図6 [0049] 図7は、ブタの虚血再潅流モデルにおいて心室性不整脈が低減された結果を示す図である。GFPを用いたコントロールベクターと比較して、この試験では、AAV9/PL−RNAiの発現を用いた。] 図7 [0050] 図8は、ブタの虚血再潅流モデルにおける改善された心室機能の結果を示す図である。ベクターを単独で用いるか又はGFPと共に用いるコントロールと比較して、この試験では、AAV9/PL−RNAiの発現を用いた。] 図8 実施例 [0051] 発明の詳細な説明 本発明の組成物、方法及び治療方法について述べる前に、本発明は、記載されている特定の組成物、方法及び実験条件に限定されず、組成物、方法及び条件を変更してもよいことがが理解されるであろう。本発明の範囲は添付の請求項のみにおいて限定され、ここで用いられる用語は、特定の実施形態を記載するためだけのものであり、限定するようには意図されていないことも理解されるであろう。] [0052] この明細書及び添付されている特許請求の範囲で用いているように、単数形(「a」、「an」「the」)は、別段の定めがなければ、複数のものを含む。従って、例えば「前記方法」への言及は、ここに記載されている類型であって、この開示を参照した当業者らに明らかである類型の1つ以上の方法及び/又はステップを含む。] [0053] ここで用いる技術的用語及び科学的用語のすべては、別段の定めがない限り、本発明が属する分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。ここに記載されているものに類似するか又は同等である任意の方法及び材料を本発明の実施又は試験で用いることができるが、以下に非限定的な方法及び材料を記載する。] [0054] 本発明の実施は、別段の定めがない限り、当該技術分野内のウイルス学、微生物学、分子生物学、及び、組換DNA技術の従来的方法を使用する。そのような技術は、文献に充分に完全に説明されている。例えば、Sambrook,et al.Molecular Cloning:A Laboratory Manual(現行版);DNA Cloning:A Practical Approach, vol.I&II(D.Glover,ed.);Oligonucleotide Synthesis(N.Gait,ed.,現行版);Nucleic Acid Hybridization(B.Hames&S.Higgins,eds.,現行版);Transcription and Translation (B.Hames&S.Higgins,eds.,現行版);CRCHandbook of Parvoviruses,vol.I&II(P.Tijessen,ed.);Fundamental Virology,2nd Edition,vol.I&II(B.N.Fields and D.M.Knipe,eds.)を参照されたい。] [0055] 本発明は、心臓のCa2+恒常性の重要な調節因子であるPLBに相補的なRNAiを用いた対象における心不全(HF)の治療を成功裏に実証している。合成した小さい干渉RNAは、RNAiを媒介するが、インビボにおける使用は、血漿中での不安定性及びターゲット細胞中への低い移送性によって制限されている。本出願人らは、アデノウイルスの短ヘアピン型RNAベクター(AdV−shRNA)が心筋細胞(PNCM)においてPLBを抑制し、インビボにおいて心不全動物の血流動態を改善することを証明した。本出願人らは、心臓機能の回復、心臓拡張及び肥大症の回復、並びに、生存率の改善を達成したRNAiを運ぶ心臓作用性アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターも開発した。PNCMにおいて、フェニレフリンに誘発される肥大症関連マイクロRNAのデレギュレーションをRNAiベクターによって元に戻した。収縮能に対するそれらの効果を越えて、RNAiターゲッティングは、マイクロRNA量を変化させ、それによって、血流動態因子又は神経液活性化がなくても細胞の転写プログラムを直接的に変化させる。] [0056] 一実施形態においては、心不全の治療方法が開示されており、この方法は、必要性がある対象に治療的有効量のRNAi発現カセットを投与するステップにおいて、前記カセットが、その発現生成物がフォスフォランバン(PLB)の発現及び/又は活性を減少させるウイルス粒子ベクター及びRNAi配列を、対象の心筋細胞に形質導入するのに有効な量で含み、それによってRNAi発現カセットを発現させて対象の心不全を治療するステップを具える。] [0057] 本発明は、局所的に誘導したRNAiによって心臓病を治療する方法を開示する。心不全は依然として発展途上国における死亡率の主要原因である。現行の薬物療法は有効性が限定的であり、進行した心不全においては左室補助装置又は心臓移植が最終的な選択肢である。心不全は複合的要因の結果として生じることもあるが、不完全な心臓のCa2+恒常性が重要な最終共通路であると認識されている。心不全は、SERCA2aの発現低下及び/又はPLBリン酸化から結果的に生じる、PLBで制御される筋小胞体Ca2+ATPアーゼポンプの機能不全に部分的に起因する(Schmidt et al,Am J Physiol(1999)277:H474〜480)。リン酸化されていないPLBは、SERCA2aのCa2+親和性を低く維持し、結果として、筋小胞体へのCa2+取り込みを減少させ、弛緩を遅くし、筋小胞体Ca2+負荷を減少させるが、β−アドレナリン刺激に対するPLBリン酸化は、この阻害を低下させる(MacLennan,D.H.& Kranias,E.G.Phospholamban:a crucial regulator of cardiac contractility.Nature Reviews Molecular Cell Biology 4,566−77(2003))。PLB遺伝子の生殖細胞切除(Luo et al,Circ Res(1994)75:401−409)、及び、ドミナントネガティブPLB突然変異体用の体細胞遺伝子移行(Hoshijima et al, Mature Medicine(2002)8:864−871;Iwanaga et al,J Clin Invest(2004)113:727−736)、及び、PLBアンチセンスRNA(Eizema et al,Circulation(2000)101:2193−2199;He et al,Circulation(1999)100:974−980)又は細胞内の抑制性PLB抗体を用いて、SERCA2a活性及び収縮能を増大させ、心不全モデルを治療した(Dieterle et al,Cardiovasc Res(2005)67:678−688;Meyer et al,FASEB J(2004)18:1312−1314;Minamisawa,S.et al Chronic phospholamban−sarcoplasmic reticulum calciumATPase interaction is the critical calcium cycling defect in dilated cardiomyopathy.Cell 99,313−22(1999))。化学合成した短い干渉RNA(低分子干渉RNAs)によって媒介されるRNAiは、心筋細胞においてインビトロでさえも有効性及び安定性が低かった(Watanabe et al,JMol Cell Cardiol(2004)37:691−698)。] [0058] 合成低分子干渉RNAの根本的な2つの限界は、血漿及びターゲット細胞中での急速な分解、並びに、適切な移送及びインビボでのターゲッティングの問題である。ウイルスベクターは、これらの限界を克服する潜在能力を有する。本発明において、Ca2+を操作するタンパクを含む他の心臓タンパクの発現が変化しなかったことは、ターゲット特異性が高いことを示している。このように、一連のベクター及びそれらの有効性の決定要因の機能的特性評価を行って、その後、重篤な心不全の動物モデルにおいて、従来のアデノウイルスベクターと共に、最適化されたパルボウイルス(すなわち、AAV)を決定し、及び、RNAi治療中の心筋細胞マイクロRNA(miR)経路を決定した。このように、ここで与えるデータは、インビボにおける心臓機能の回復、及び、病的な肥大及び拡張の減少を証明する。] [0059] ここで用いられている「パルボウイルス」との用語は、自己複製するパルボウイルス及びディペンドウイルスを含むパルボウイルス科を包含する。自律性パルボウイルスには、パルボウイルス属、エリスロウイルス属、デンソウイルス属、イテラウイルス属及びコントラウイルス属のメンバーが含まれる。自律性パルボウイルスは、限定されないが、例えば、マウス微小ウイルス、ウシパルボウイルス、イヌパルボウイルス、ニワトリパルボウイルス、ネコ汎白血球減少症ウイルス、ネコパルボウイルス、ガチョウパルボウイルス、H1パルボウイルス、タイワンアヒルパルボウイルス、B19ウイルス、及び、他の自律性パルボウイルスを含む。他の自律性パルボウイルスは当業者に知られている。例えば、BERNARD N.FIELDS et al.,VIROLOGY,volume 2,chapter 69(4th ed.,Lippincott−Raven Publishers)を参照されたい。] [0060] パルボウイルスは、約5000のヌクレオチド長のゲノムを有する小さい単鎖非エンベロープDNAウイルス科である。その科に含まれるのは、アデノウイルス(Ad)及びアデノ随伴ウイルス(AAV)である。アデノウイルスは、気道の膜、目、腸及び尿路に感染する一群のウイルスを表す。アデノウイルスは、エンドソーム経由で輸送できる最大サイズである(すなわち、エンベロープ融合は必要ではない)ので、最大の非エンベロープウイルスを表す。ウイルス粒子も、宿主細胞への付着を助けるカプシドの各ペントンベースに付属した独特な「スパイク」又は繊維を有する。AAVは、定義によれば、増殖感染サイクルを開始及び維持する別のウイルス(一般的にはアデノウイルス又はヘルペスウイルス)との重感染を必要とする依存パルボウイルスである。そのようなヘルパーウイルスの非存在下においてもなお、AAVは、レセプタ媒介性結合及び内在化によってターゲット細胞に感染するか又はトランスダクションする能力があり、非分裂細胞及び分裂細胞のいずれにおいても核に浸透する。] [0061] 核内に入ると、ウイルスが脱殻し、導入遺伝子が多数の異なる形態から発現する。最も難分解性であるものは環状の単量体である。AAVは、安定に形質導入された細胞の1〜5%のゲノムに統合されるであろう(Nakai et al.,J.Virol.76:11343−349,2002)。導入遺伝子の発現は非常に安定であり得て、第IX因子のAAV送達を用いた研究においては、イヌモデルが、ウイルスによる単独の直接的な注射の4.5年後に治療的レベルのタンパクを発現し続けている。ヘルパーウイルスの非存在下においてはAAV感染から子孫ウイルスが生産されないので、形質導入の範囲は、ウイルスに感染した最初の細胞だけに限定されている。本発明においてAAVを適切な遺伝子療法ベクターにしているのはこの特徴である。更に、レトロウイルス、アデノウイルス及び単純性疱疹ウイルスとは異なり、AAVは、ヒト病原性及び毒性がないと考えられる(Kay et al,Nature 424:251,2003 and Thomas et al,Nature Reviews,Genetics 4:346−58,2003)。] [0062] AAVのゲノムは、一般に遺伝子を2個だけ含む。「rep」遺伝子は、DNA複製に用いられる少なくとも4つの分離したタンパクをコードする。「cap」遺伝子生成物は、別々にスプライシングされてウイルスのカプシドを構成する3つのタンパクを生成する。新生ウイルス中にゲノムを詰め込むときに、逆方向末端反復のみ(ITR)が必須の配列である。rep及びcapは、ゲノムから削除してもよく、最適な異種配列で置換してもよい。しかしながら、AAVをベースとする異種構築物を複製し、新生ウイルス粒子に詰め込むために必要とされるタンパクを生産するために、repとcapとのタンパクをトランスで提供しなければならない。ヘルパー機能は、アデノウイルス又はヘルペスウイルスなどのヘルパーウイルスとの重感染によって一般的に提供される、1以上のDNA発現プラスミドの形でトランスで提供してもよい。そのゲノムが通常は2個の遺伝子だけをコードするので、送達手段として、AAVが一本鎖の4.5キロベース(kb)の詰め込み能力で限定されていることは驚くべきことではない。しかしながら、このサイズ制限は、置換遺伝子治療用に送達可能な遺伝子を限定する可能性もあるが、そのことはRNAiなどの短い配列の詰め込み及び発現に悪影響を及ぼさない。] [0063] RNAi応用のためのAAVの有用性は、インビトロにおいてAAVを用いてshRNAを送達することによってp53及びカスパーゼ8発現を抑制する試験で証明された(Tomar et al.,Oncogene 22:5712−15,2003)。AAV−2空ベクター中に適切な配列をクローニングした後に、感染性AAVウイルス粒子をHEK293細胞中で生成し、ヒーラS3細胞に感染させるために用いた。内因性カスパーゼ8及びp53の量の用量依存的な減少が証明された。Bodenらも、使用済み媒体におけるp24生産によって評価されているように、インビトロにおいてAAVを用いてshRNAを送達することによって組織培養系(Boden et al, J.Virol.77(21):115231−35,2003)におけるHIV複製を抑制した。] [0064] しかしながら、AAVを運搬手段としてRNAi発現構築物に用いるときには、技術的なハードルをクリアしなければならない。例えば、ヒト人口の数パーセントが特定のAAV血清型に対する中和抗体を有している可能性がある。しかしながら、中和抗体を有する患者のパーセンテージが非常に低いいくつかのAAV血清型が存在しているので、他の血清型を用いることもでき、あるいは、偽型を用いてもよい。特性が明らかにされた少なくとも9個の異なる血清型が存在しており、単離されたが、それほど研究されていない他の数十個の血清型も存在している。もう1つの限界は、AAVに対して生じ得る免疫反応の結果から、AAVに基づく治療を一度しか実施できないことである。しかしながら、非ヒト由来の代替的血清型の使用は、反復実施を可能にするかもしれない。送達したゲノムの投与経路、血清型及び組成物のすべてが組織特異性に影響を及ぼし得る。] [0065] RNAi発現構築物と共に非修飾AAV系を用いることにおける別の限界は、形質導入が非能率になり得るということである。インビボにおける安定な形質導入は、細胞の5〜10%に限定される可能性がある。しかしながら、安定な形質導入レベルを高める様々な方法が当業界において知られている。1つのアプローチは、他の血清型に由来するcapタンパクを用いてAAV−2ゲノムを詰め込む偽型を用いることである。例えば、Mingozziらは、AAV−2対応物に代えてAAV−5cap遺伝子を用いることによって、安定な形質導入を肝細胞の約15%に増加させた(Mingozzi et al,J.Virol.76(20):10497−502,2002)。Thomasらは、インビボにおいてAAV8カプシド遺伝子を用いてマウス肝細胞の30%超に形質導入した(Thomas et al,J.Virol,近刊)。Grimmら(Blood.2003−02−0495)は、AAV−1、AAV−3B、AAV−4、AAV−5及びAAV−6を用いて、AAV−2を完全に偽型にした。最高レベルの導入遺伝子発現は、ウイルス粒子を用いて偽型にしたAAV−6によって誘導され、AAV−2よりも2000%近く高い導入遺伝子発現をもたらした。従って、本発明は、偽型AAVウイルスを用いて高い形質導入レベルを達成し、それに対応するRNAi多重プロモータ発現構築物の発現における増加を意図する。] [0066] ここで用いられているように、「アデノ随伴ウイルス」という用語(AAV)は、限定されないが、AAV1型、AAV2型、AAV3型(3A型及び3B型を含む)、AAV4型、AAV5型、AAV6型、AAV7型、AAV8型、AAV9型、AAV10型、AAV11型、鳥AAV、ウシAAV、イヌAAV、ウマAAV、ヒツジAAV、及び、現在知られている他のAAVを含む。例えば、BERNARD N.FIELDS et al.,VIROLOGY,volume 2,chapter 69(4th ed.,Lippincott−Raven Publishers)を参照されたい。最近、新しいAAV血清型及び分岐群と推定されるものが多数確認された(例えば、Gao et al,(2004)J.Virology 78:6381−6388;Moris et al,(2004)Virology 33−:375−383を参照されたい。)。一実施形態においては、AAVがAAV9型である。] [0067] 様々な血清型のAAV及び自律性パルボウイルスのゲノム配列、並びに、末端反復(TRs)、Repタンパク及びカプシドサブユニットの配列は、当業界で知られている。そのような配列は、文献、又は、GenBank登録番号NC_002077、NC_001401、NC_001729、NC_001863、NC_001829、NC_001862、NC_000883、NC_001701、NC_001510、NC_006152、NC_006261、AF063497、U89790、AF043303、AF028705、AF028704、J02275、J01901、J02275、X01457、AF288061、AH009962、AY028226、AY028223、NC_001358、NC_001540、AF513851、AF513852、AY530579を含む(限定されない)GenBankなどの公共データベースにおいて見つけることができる。これらの開示は、パルボウイルス及びAAV核酸及びアミノ酸配列を教示する目的で、ここにおいて言及することによって組み込まれている。また、例えば、ここにおいて言及することにより組み込まれているSrivistava et al.,(1983)J.Virology 45:555;Chiorini et al.,(1998)J.Virology 71:6823;Chiorini et al.,(1999)J.Virology 73:1309;Bantel−Schaal et al.,(1999)J.Virology 73:939;Xiao et al.,(1999)J.Virology 73:3994;Muramatsu et al,(1996)Virology 221:208;Shade et al,(1986)J.Virol.58:921;Gao et al,(2002)Proc.Nat.Acad.Sci.USA 99:11854;Moris et al,(2004)Virology 33−:375−383;国際公開公報WO00/28061,WO99/61601,WO98/11244;及び、米国特許第6,156,303号を参照されたい。] [0068] ここで用いられている「向性」という用語は、例えば組み替えウイルスの異種ヌクレオチド配列の発現などのように、細胞内ウイルスゲノムによって運搬される配列の発現(例えば転写及び任意に翻訳)を後に選択的に伴う、特定の細胞又は組織へのウイルスの優先的な侵入を意味する。当業者は、例えば誘導可能なプロモータ又は他の方法で制御される核酸配列に対するトランス作用因子の非存在下においては、ウイルスゲノムからの異種核酸配列の転写が開始されない可能性があることを理解できるであろう。rAAVゲノムの場合には、ウイルスゲノムからの遺伝子発現が、安定に統合されたプロウイルスからであってもよく、統合されていないエピソーム及び細胞内でウイルスがとり得る他の形態からであってもよい。] [0069] ここで用いられているように、別段の定めがない限り、「ポリペプチド」という用語は、ペプチド及びタンパク(天然又は非天然を含む)の両方を包含する。] [0070] ここで用いられているように、「単離された」ポリペプチド(例えば「単離されたペプチド」又は「単離されたタンパク」)は、例えば、細胞若しくはウイルスの構造成分又はポリペプチドに付随して一般的にみられる他のポリペプチド又は核酸などの天然に存在する生命体又はウイルスの他の成分の少なくともいくつかから、少なくとも部分的に分離されたポリペプチドを意味する。] [0071] 「ポリヌクレオチド」は、ヌクレオチド塩基の配列であり、RNA、DNA又はDNA−RNAハイブリッド配列(天然又は非天然ヌクレオチドを含む)であってもよいが、代表的実施形態においては、一本鎖又は二本鎖のDNA配列である。] [0072] ここで用いられているように、「単離された」ポリヌクレオチド(例えば「単離されたDNA」又は「単離されたRNA」)は、例えば、細胞若しくはウイルスの構造成分、又は、ポリヌクレオチドに付随して一般的にみられる他のポリペプチド若しくは核酸などの天然に存在する生命体又はウイルスの他の成分の少なくともいくつかから少なくとも部分的に分離されたポリヌクレオチドを意味する。] [0073] ここで用いられているように、ウイルスベクターを「単離」又は「精製」する(又は文法的に同等のもの)ことは、出発物質中の他の成分の少なくともいくつかからウイルスベクターを少なくとも部分的に分離することを意味する。] [0074] 「治療ポリペプチド」は、細胞又は対象におけるタンパクの欠如又は欠陥から結果的に生じる症状を緩和又は低減できるポリペプチドである。代替的に、「治療ポリペプチド」は、例えば抗不整脈効果、心不全における生存の改善などのように、対象に他の点で利益を与えるものである。] [0075] 細胞による核酸組成物の取り込みを表すために「トランスフェクション」を用いる。外因性の核酸組成物が細胞膜を通過すると、細胞が「トランスフェクト」される。当業界において多くのトランスフェクション技術が周知である。例えば、[69,70],Sambrook et al.(1989)Molecular Cloning,a laboratory manual,Cold Spring Harbor Laboratories,New York,Davis et al.(1986)Basic Methodsin Molecular Biology,Elsevier,及び[71]を参照されたい。そのような技術を用いて、適切な宿主細胞中に、プラスミドベクター及び他の核酸分子などの1つ以上の核酸組成物を導入することができる。この用語は、遺伝物質の安定的な取り込み及び一時的な取り込みの両方を意味する。本発明の目的において、「形質導入(トランスダクション)」は、ウイルスベクターを介した「トランスフェクション」の特別な形態である。] [0076] 「形質導入(トランスダクション)」は、インビボ、インビトロ、又は、エキソビボにおいて、組み換えAAVウイルス粒子などのウイルス又はウイルスベクターを介した、レシピエント細胞への、レシピエント細胞中への、又は、レシピエント細胞内での核酸組成物の送達を意味する。形質導入は、トランスフェクションの特別な形態である。つまり、トランスフェクションという用語は、形質導入という用語を含む。] [0077] 「治療する」という用語は、文法的に同等のものを含めて、対象の病状の重症度を下げるか、若しくは、少なくとも部分的に改善するか、若しくは、回復させること、及び/又は、少なくとも1つの臨床症状のある程度の緩和、鎮静化、若しくは、低減を達成すること、及び/又は、病状の進行を遅延させること、及び/又は、病気又は疾患の発症を予防又は遅延させることを意味する。従って、「治療」という用語は、予防養生及び治療養生の両方を意味する。] [0078] 「異種ヌクレオチド配列」又は「異種核酸」は、天然ウイルス中に存在していない配列である。通常、異種核酸は、ポリペプチド又は翻訳されない対象RNA(例えば細胞又は対象への送達するためのもの)をコードするオープンリーディングフレームを具える。] [0079] ここで用いられているように、「ウイルスベクター」、「ベクター」又は「遺伝子送達ベクター」という用語は、核酸伝達手段として機能し、AAVカプシド内に詰め込まれたベクターゲノム(例えば、ウイルスDNA[vDNA])を具えるウイルス(例えばAAV)粒子を意味する。代替的に、いくつかの文脈においては、「ベクター」という用語は、ベクターゲノム/ウィルスDNAのみを表すために用いることができる。] [0080] 「rAAVベクターゲノム」又は「rAAVゲノム」は、1以上の異種ヌクレオチド配列を具えるAAVゲノム(すなわちvDNA)である。rAAVベクターは、ウイルスを生成するために、シスで末端反復(TR)の145塩基だけしか通常は必要としない。ウイルスの他のすべての配列は、必須ではなく、トランスで与えられてもよい(Muzyczka,(1992)Curr.Topics Microbiol.Immunol.158:97)。一般的に、rAAVベクターゲノムは、最小限の末端反復だけを保持して、ベクターによって効率的に詰め込むことができる導入遺伝子のサイズを最大化する。構造的タンパク及び非組織的タンパクをコードする配列を、トランスで(例えば、プラスミドなどのベクターから、又は、詰め込み細胞中に安定にその配列を統合することによって)与えてもよい。rAAVベクターゲノムは、少なくとも1つの末端反復配列(例えばAAV末端反復配列)、任意に2つの末端反復(例えば2つのAAV末端反復)を具え、これらの末端反復配列は、異種ヌクレオチド配列の5’末端及び3’末端に通常存在するが、それらに隣接している必要はない。末端反復は、互いに同一又は異なっていてもよい。] [0081] 「AAV末端反復」又は「AAV TR」は、限定されないが、血清型1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又は11を含む任意のAAVから由来してもよい。末端反復が所望の機能(例えば複製、ウイルス詰め込み、統合、及び/又はプロウイルス救命など)を媒介する限り、AAV末端反復は、野生型の端子反復配列(例えば、野生型配列が、挿入、欠失、切断又はミスセンス突然変異によって変化していてもよい)を必要としない。] [0082] 「末端反復」又は「TR」という用語は、Samulski et alに付与された米国特許第5,478,745号に記載されている「二重D配列(double−D sequence)」などの逆方向末端反復のような、ヘアピン構造及び機能を構成する任意のウイルスの末端反復及び合成配列を含む。自律性パルボウイルス及びAAVのカプシド構造は、BERNARD N.FIELDS et al,VIROLOGY,volume 2,chapters 69&70(4th ed.,Lippincott−Raven Publishers)にさらに詳細に記載されている。また、the crystal structure of AAV2(Xie et al.,(2002)Proc.Nat.Acad.Sci.99:10405−10),AAV4(Padron et al,(2005)J.Virol.79:5047−58),AAV5(Walters et al,(2004)J.Virol.78: 3361−71)and CPV(Xie et al.,(1996)J.Mol.Biol.6:497−520 and Tsao et al,(1991)Science 251:1456−64)の説明を参照されたい。「AAVミニ遺伝子」は、最小限のAAV1末端反復及び異種核酸成分からなる構築物を意味する。ウイルスベクター、プラスミドベクターなどを含む任意の適切なベクター上でミニ遺伝子を運搬して本発明によるrAAVを生産してもよい。] [0083] さらに、本発明のウイルスベクターは、「ターゲット」されているウイルスベクター(例えば、定方向向性を有する)、及び/又は、国際公開公報WO00/28004及びChao et al.,(2000)Molecular Therapy 2:619に記載されている「ハイブリッド」パルボウイルス(つまり、rAAVゲノム及びウイルスカプシドが異なるパルボウイルスに由来するもの)であってもよい。] [0084] 本発明のウイルスベクターは、さらに、国際特許出願公開公報WO01/92551に記載されている二本鎖パルボウイルス粒子であってもよい。従って、いくつかの実施形態においては、二本鎖(二重)ゲノムを本発明のウイルスカプシド内に詰め込むことができる。] [0085] さらに、ウイルスのカプシド又はゲノムは、挿入、欠失、及び/又は置換を含む他の修飾を含むことができる。] [0086] 従って、ここで用いられているように、「ウイルスベクター」という用語は、ハイブリッドの、ターゲットされた、二本鎖のウイルス粒子並びにパルボウイルス及びAAVの他の修飾された形態を包含する。] [0087] ここで用いられているように、「脊椎動物」という用語は、哺乳動物、鳥類、魚又は爬虫類を包含する。例えば、脊椎動物は、哺乳類であってもよい。「哺乳動物」という用語は、ヒト及び非ヒト霊長類、家畜動物(例えばヒツジ、ウシ、ヤギ、ブタ、ロバ、ウマ)、実験室試験動物(例えばネズミ、マウス、ラビット、モルモット、ハムスター)、ペット(例えばイヌ、ネコ)、又は、捕獲した野生動物を含む。哺乳動物は、限定されないが、ヒト及びネズミ科哺乳動物を含む。] [0088] 本発明は、一部分において、心不全を治療する方法として、RNAiを介して遺伝子抑制を容易にして、心臓細胞におけるカルシウム流れの調節に直接的に又は間接的に関係する、1以上の転写的活性遺伝子領域を下方制御又は抑制する薬剤の適用に基づいている。一実施形態においては、心不全を治療する方法であって、必要性のある対象に治療的有効量のRNAi発現カセットを投与するステップを具え、前記カセットは対象の心筋細胞に形質導入するのに有効な量でウイルス粒子ベクター及びRNAi配列を含み、前記RNAi配列の発現生成物がフォスフォランバン(PLB)mRNAの発現を減少させ、それによって、RNAi発現カセットを発現させて対象の心不全を治療する方法を開示する。] [0089] 「RNA干渉」という用語は、通常、二本鎖RNA分子が、前記二本鎖RNA分子又は短ヘアピンRNA分子と実質的又は完全に相同な核酸配列の発現を変化させるプロセスを意味する。理論付けられていないが、作用機構は、限定されないが、直接的又は間接的なPLB遺伝子の発現の下方制御、PLBmRNAにおける減少、及び/又は、PLB活性の低下を含む。「RNAi」という用語は、RNA干渉を誘発するRNA配列であって、ベクターから転写されるものを意味する。「短ヘアピンRNA」又は「shRNA」という用語は、二本鎖領域及びループ領域を有するRNA構造を意味する。ステムループ又はパンハンドル二次構造を有するRNA分子を特に含むように理解すべきである。本発明のいくつか実施形態においては、RNAiは、まずshRNAとして発現される。] [0090] 「RNAi発現カセット」という用語は、少なくとも1つの[プロモータRNAi−ターミネータ]単位を有する本発明の実施形態によるカセットを意味する。「複合プロモータRNAi発現カセット」という用語は、2つ以上の[プロモータRNAi−ターミネータ]単位を具えるRNAi発現カセットを意味する。「RNAi発現構築物」、「RNAi発現ベクター」という用語は、少なくとも1つのRNAi発現カセットを含むベクターを意味する。] [0091] RNAiは、通常、ターゲットとRNAiとの同一な配列によって最適化される。100%より低い相同性であってもRNA干渉現象がみられるが、特異的二本鎖領域を形成するためには、相補領域が互いに十分に相同でなければならない。RNA干渉を生じさせるのに有効な二本鎖領域を実現するための正確な構造的規則は、完全には確認されていないが、通常、約70%の同一性で充分である。従って、本発明のいくつかの実施形態において、RNAiとPLBとの相同性は、少なくとも70%のヌクレオチド配列の同一性であり、少なくとも75%のヌクレオチド配列の同一性であってもよい。この相同性は、限定されないが、少なくとも80%のヌクレオチド配列の同一性を含み、少なくともの85%又は90%ものヌクレオチド配列の同一性である。一実施形態においては、ターゲット配列とRNAiのセンス鎖との配列相同性は、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%のヌクレオチド配列の同一性である。] [0092] さらに考慮すべきことは、RNA二本鎖においては、GがCと対になるほど強くないが、GがUと対になるという点において、RNAにおける塩基対合がDNAとは微妙に異なっているということである。さらに、RNAiの有効性のために、アンチセンス鎖がターゲット配列と相同であることがさらに重要である。いくつかの状況においては、21個のヌクレオチドのうちの17個のヌクレオチドがRNAiを開始させるのに充分であることが知られているが、他の状況においては、21個のヌクレオチドのうちの19個又は20個の同一性が必要である。理論付けられていないが、一般的なレベルでは、二本鎖領域の中央部分において端部よりもさらに高い相同性が必要である。ある程度の抑制が求められるだけの状況においては、完全な相同性に対して所定の程度の欠損を特定の構築物中に設計することによってRNAi活性を低下させ、ターゲット遺伝子生成物を部分的にサイレンシングするか又は抑制してもよい。そのようなケースにおいては、アンチセンス配列の1つ又は2つの塩基しか変更することができない。一方で、センス鎖は、突然変異に対してより強い耐性がある。理論付けられていないが、これは、触媒的に活性であるアンチセンス鎖に起因する可能性がある。従って、センス鎖と及びターゲット遺伝子の転写領域との間の同一性が低下しても、アンチセンス鎖が完全にその転写物と完全にハイブリダイズする場合は特に、必ずしもRNAi活性が低下しないであろう。センス鎖における突然変異(ターゲット遺伝子の領域の転写と同一でないもの)は、ヘアピン構築物の配列決定を支援するのに有効であり、ヘアピン転写物のダイサープロセッシングを調整すること又はRNAi経路の他の態様などの他の目的に潜在能力がある。] [0093] 「ハイブリダイズ」及び「アニーリング」という用語(これらと文法的に同等のものを含む)は、本明細書においてはヌクレオチド配列に関して区別なく用いられ、それらの相補性によってワトソンクリック塩基対を形成することができるヌクレオチド配列を意味する。また、当業者は、特にRNA配列と関連して、非ワトソンクリック型塩基対が可能であることを理解するであろう。例えば、いわゆる「ゆらぎ塩基対」は、RNAにおいてグアノシン残基とウラシル残基との間に生じ得る。] [0094] RNAi発現カセットのRNA発現生成物によって、RNA干渉を誘導する二本鎖RNA(dsRNA)複合体が生成され、従って、哺乳類遺伝子の発現を下方制御するか又は減少させる。「dsRNA」は、2つのワトソンクリック塩基対の相補的RNA鎖を具えるリボ核酸複合体を意味する。前記dsRNA複合体は、65℃における0.2×SSCの洗浄ステップを含む緊縮条件下で少なくとも1つの哺乳動物遺伝子のヌクレオチド配列にハイブリダイズする第1ヌクレオチド配列、及び、前記第1ヌクレオチド配列に相補的な第2ヌクレオチド配列を具える。第1ヌクレオチド配列が第3ヌクレオチド配列(例えばRNAループ)によって第2ヌクレオチド配列に連結して、第1ヌクレオチド配列と第2のヌクレオチド配列とが同じRNA分子の一部であるようにしてもよい。代替的に、第1ヌクレオチド配列が1つのRNA分子の一部であってもよく、また、第2ヌクレオチド配列が他のRNA分子の一部であってもよい。従って、dsRNA複合体が分子間ハイブリダイゼーション又はアニーリングによって形成されてもよいし、又は、前記dsRNA複合体が分子間ハイブリダイゼーション又はアニーリングによって形成される。] [0095] 本明細書中において、「相補的」は、ワトソン−クリック型塩基対を示すように通常の方法で用いられている。「非相補的」は、非ワトソン−クリック型塩基対を意味するように用いられ、そのような非相補的配列は、ゆらぎ塩基対又はその他の相互作用を形成してもよい。しかしながら、本発明の文脈において、「対にならない」配列への言及は、ワトソンクリック型塩基対が生じない配列に特に関する。従って、非ワトソン−クリック型塩基対が理論上又は実際上生じるか否かに関わらず、配列の本発明によるスペーシング又はバブルシーケンスの実施形態を、対にならない配列としてここに記載して図示する。] [0096] 2つ以上のポリヌクレオチドの配列関係を説明するために用いられる用語には、「基準配列」、「比較領域」、「配列類似性」、「配列同一性」、「配列類似性のパーセンテージ」、「配列同一性のパーセンテージ」、「実質的類似」、「実質的同一」が含まれる。「基準配列」は、長さにおいて、少なくとも10、高い頻度で15〜25、30などのようにしばしば25を超えるモノマー単位であり、ヌクレオチドを含む。2つのポリヌクレオチドは、それぞれ、(1)2つのポリヌクレオチド間で類似した配列(つまり完全なポリヌクレオチド配列の一部だけ)、及び、(2)2つのポリヌクレオチド間で相違する配列を具えている可能性があるので、2つ(又はそれ以上)のポリヌクレオチド間の配列比較は、通常、「比較領域」について2つのポリヌクレオチドの配列を比較し、配列類似性の局所的領域を確認及び比較することによって行う。「比較領域」は、隣接している通常は少なくとも約10の残基の概念的部分であって、基準配列と比較される部分を意味する。前記比較領域は、2つの配列の最適なアラインメントのために、基準配列(付加又は欠失を具えていない)と比較して約20%以下の付加又は欠失(すなわち、ギャップ)を具えていてもよい。比較領域を整列させるための配列の最適なアラインメントは、アルゴリズム(例えば、ギャップ,BESTFIT,FASTA,and TFASTA in the Wisconsin Genetics Software Package Release 7.0,Genetics Computer Group,575 Science Drive Madison,ウィスコンシン,米国)をコンピューター処理によって実装することによって、又は、検査、及び、選択した様々な方法のいずれかによって生成される最善のアラインメント(つまり、比較領域について最も高いパーセンテージの相同性となる)によって行ってもよい。例えばAltschul et alによって開示されたプログラムのBLASTファミリーも参照する。配列分析の詳細な考察は、Ausubel et alのUnit19.3でみつけることができる。「配列同一性のパーセンテージ」は、例えば、比較領域について2つの最適に整列した配列を比較するステップと、両方の配列において同一の核酸塩基(例えばA、T、C、G、I)が存在する位置の数を決定してマッチした位置の数を与えるステップと、比較領域中の位置の総数(すなわち、ウィンドウサイズ)によってマッチした位置の数を除するステップと、その結果に100を乗じて配列同一性のパーセンテージを与えるステップと、によって算出してもよい。本発明の目的において、「配列同一性」は、ソフトウェアに添付されているレファレンスマニュアルにおいて用いられている標準的初期設定を用いて、DNASISコンピュータプログラム(ウインドウズ用バージョン;Hitachi Software engineering社、サウスサンフランシスコ、カリフォルニア、米国、から入手可能)によって算出される「マッチパーセンテージ」を意味することが理解できるであろう。] [0097] 代替的に、ポリヌクレオチドについての相同性/同一性をハイブリダイゼーション試験によって測定することができる。ここで用いられているように、第1核酸配列又はフラグメント(例えばプライマー、プローブなど)が選択的に第2核酸配列にハイブリダイズすると考えられ、従って、(i)ハイブリダイゼーションの厳密性が低い又は高い条件である例えば、Maniatis(Molecular Cloning:A Laboratory Manual、2nd Edithion,1989)に記載されているような一般的なハイブリダイゼーション条件及び洗浄条件下において、又は、(ii)例えば、2×SSC、0.1%SDS、室温;その後、2×SSC、0.1%SDS、37℃、30分で1回;2×SSC、室温、各10分で2回といった、最大で約25〜30%の塩基対不整合を許容する厳格な洗浄条件下、又は、(iii)標準的なPCR条件下又は「タッチダウン」PCR条件下において、そのような第2配列が第1配列又は変異体に特異的にハイブリダイズすることができるか又は特異的にポリメラーゼチェーン反応を開始することができれば、「実質的相同」を示す。] [0098] ここで用いられている「ハイブリダイズ条件」という用語は、通常、核酸の2つの相補鎖間、特に、少なくとも7個のヌクレオチド長を有するRNAの2つの相補鎖間のハイブリダイゼーションを可能にする条件を意味する。ハイブリダイズ条件は、当業界で周知であり、限定されるものではないが、細胞内生理的条件などの生理学的条件を含む。] [0099] 本発明のRNAiは、短い二本鎖の、又は、特に部分的に二本鎖の(例えば、パンハンドル、ステムループ及びヘアピン)RNAであって、正常な哺乳動物細胞において有毒でないRNAを具えていてもよい。細胞毒性を示さない限り、本発明のRNAiの長さに特段の制限はない。RNAiは、例えば、約10〜71bpの長さ、約15〜49bpの長さ、約15〜35bpの長さ、及び、約19〜29bpの長さ又は約19〜21bpの長さであってもよい。RNAiの二本鎖RNA部位は、完全に相同であってもよく、又は、配列ミスマッチ(各鎖において対応ヌクレオチドが相補的でない)、突出部(1つの鎖における対応する相補ヌクレオチドの欠如)などによって対にならない部位を含んでいてもよい。そのような対にならない部分は、RNAiの二本鎖形成又は有効性を著しく妨げない程度まで許容することができる。] [0100] 「低分子干渉RNA」又は短鎖干渉RNAは、典型的なオリゴヌクレオチド合成などのような当業界で知られている方法によって製造することができ、多くの場合、化学修飾することによって、低分子干渉RNAの半減期及び/又は有効性を増加させ及び/又はさらに強固な送達製剤を可能にする。当業界においてオリゴヌクレオチドの多数の修飾が知られている。例えば、米国特許第6,620,805号は、ポルフィリンなどの正味の正電荷を有する大員環と結合したオリゴヌクレオチドを開示している。米国特許第6,673,611号は様々な製法を開示している。米国特許出願公開第2004/0171570号、第2004/0171032号及び第2004/0171031号は、シクロブチルヌクレオシド、シクロペンチルヌクレオシド、プロリンヌクレオシド、シクロヘキセンヌクレオシド、ヘキソースヌクレオシド又はシクロヘキサンヌクレオシドなどの多環糖代用物を具える修飾を含むオリゴマー、及び、リンを含まないヌクレオシド間結合を含むオリゴマーを開示している。米国特許出願公開第2004/0171579号は、修飾されたオリゴヌクレオチドであって、該修飾が、糖部位の2’構成基であって、H又はOHでないものを開示している。米国特許出願公開第2004/0171030号は、−BH2CN、−BH3、及び、−BH2COOR(RはC1〜C18アルキル基である)からなる群より選択されるホウ素含有置換基を有する修飾された結合塩基であるホウ素化されたC及びU又はTを具える反対鎖中のシトシン、ウラシル又はチミン塩基に結合させるための修飾された塩基を開示している。米国特許出願公開第2004/0161844号は、3’アミノホスホロアミデート、アミノアルキルホスホロアミデート又はアミノアルキルホスホロチオアミデートヌクレオシド間結合などのホスホロアミデートヌクレオシド間結合を有するオリゴヌクレオチドを開示している。米国特許出願公開第2004/0161844号は、さらに他の修飾された糖及び/又は骨格修飾であって、いくつかの実施形態においては、前記修飾が、ペプチド核酸、ペプチド核酸模倣体、モルホリノ核酸、アミド結合を有するヘキソース糖、シクロヘキセニル核酸(CeNA)、又は、非環式骨格部位であるものを開示している。米国特許出願公開第2004/0161777号は、3’末端のCAP基を有するオリゴヌクレオチドを開示している。米国特許出願公開第2004/0147470号は、オリゴマー化合物を開示している。そのオリゴマー化合物は、ヌクレアーゼ抵抗性を改善するか又はオリゴマー化合物の薬物的動態及び薬力学的特性を修正するか若しくは強める1つ以上の架橋を含むオリゴマー化合物であり、そのような架橋がジスルフィド、アミド、アミン、オキシム、オキシアミン、オキシイミン、モルホリノ、チオエーテル、尿素、チオ尿素又はスルホンアミド部位を具えている。米国特許出願公開第2004/0147023号は、第1タイプのヌクレオチドを有する2つの末端RNA部分と、第2タイプのヌクレオチドを有する内部RNA部分とを具えるギャップマーを開示している。ここで第1タイプのヌクレオチドは少なくとも1つの糖置換基を独立に含み、糖置換基がハロゲン、アミノ、トリフルオロアルキル、トリフルオロアルコキシ、アジド、アミノオキシ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、O−、S−、又は、N(R*)−アルキル基;O−、S−、又は、N(R*)−アルケニル基;O−、S−、又は、N(R*)−アルキニル基;O−、S−、又は、N−アリール基、S−、O−、又は、N(R*)−アラルキル基;を具え、前記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基又はアラルキル基は、置換されている又は置換されていないアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基であってもよく;置換されていれば、その置換は、アルコキシ、チオアルコキシ、フタルイミド、ハロゲン、アミノ、ケト、カルボキシル、ニトロ、ニトロソ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、イミダゾール、アジド、ヒドラジノ、アミノオキシ、イソシアナト、スルホキシド、スルホン、ジスルフィド、シリル、複素環若しくは炭素環基、又は、挿入剤、レポーター基、接合体、ポリアミン、ポリアミド、ポリアルキルエングリコール又は、式(−O−アルキル)mのポリエーテル(mは1から約10である);及び、R*は水素又は保護基であり;又は、米国特許出願公開第2004/0147022号が開示している修飾された糖、及び/又は、糖部位における2’−OCH3置換基などの骨格修飾を有するオリゴヌクレオチドである。] [0101] 従って、一態様において、本発明は、心不全を治療する方法であって、必要性がある対象に治療的有効量のRNAi発現カセットを投与するステップであって、前記カセットは、その発現生成物が対象の心筋細胞に形質導入するのに有効な量でフォスフォランバン(PLB)mRNAの発現を減少させるウイルス粒子ベクター及びRNAi配列を含み、それによって、前記RNAi発現カセットを発現させて前記対象の心不全を治療するステップを含む方法を開示する。] [0102] 本明細書中における「プロモータ」又は「プロモータ配列」への言及は、最も広い構成を含むように意図されており、細胞においてRNAポリメラーゼに結合することができ、メッセンジャーRNA、リボソームRNA、核小体RNAの小核、又は、任意のRNAポリメラーゼの任意のクラスによって転写される任意の種類のRNAなどのポリヌクレオチド又はポリペプチドをコードする配列の転写を開始させるDNA制御領域を含む。本明細書中で意図されている「プロモータ」は、CCAATボックス配列及びさらなる制御因子(すなわち、上流活性化配列、エンハンサー及びサイレンサー)を伴い又は伴うことなく、真核細胞における正確な転写開始に必要なTATAボックスを含む古典的ゲノム遺伝子の転写制御配列も含んでいてもよい。] [0103] プロモータは、必ずではないが、通常、制御する配列の上流又は5’に位置している。更に、プロモータを具える制御因子は、通常、制御する配列の転写の開始領域の2kb内に位置している。] [0104] 本文脈において、「プロモータ」という用語は、哺乳動物細胞において、単離された核酸分子の発現を付与するか、活性化するか、又は、強める合成分子若しくは融合分子又は誘導体を記載するためにも用いられる。別のプロモータ又は同じプロモータが、植物、動物、昆虫、菌類、酵母又は細菌細胞において機能するために必要とされることもある。プロモータは、構造遺伝子の発現をさらに強めるために1つ以上の具体的な制御因子のさらなるコピーを含んでいてもよく、その構造遺伝子は、次いで遺伝子の空間的発現及び/又は一時的発現を制御及び/又は変更する。例えば、構造遺伝子の発現に誘導性を与える制御因子は、核酸分子を発現させる異種プロモータ配列に隣接していてもよい。] [0105] 配列をプロモータ配列の調節管理下に置くことは、発現がプロモータ配列によって制御されるように前記分子の位置を決定することを意味する。プロモータは、通常、制御する遺伝子に対して5’(上流域)に位置する。異種プロモータ/構造遺伝子の組合せ構造においては、プロモータの位置は、通常、遺伝子転写開始部位と距離があってもよく、その距離はプロモータと該プロモータが制御する遺伝子との間の自然状態(すなわち、プロモータが由来した遺伝子)における距離と概ね同じである。当業界において知られているように、この距離におけるいくらかの変動は、プロモータ機能を損なうことなく受け入れることができる。同様に、制御下に置かれる異種遺伝子に対する制御配列因子の位置決定は、該因子の自然状態、すなわち、該因子が由来した遺伝子の位置によって規定されている。さらに、当業界で知られているように、この距離においていくらかの変動が生じることもある。] [0106] プロモータは、恒常的に、又は、発現が生じる細胞、組織若しくは器官に対して差次的に、又は、発現が生じる発生段階に対して差次的に、又は、特に、生理学的ストレス、調節タンパク、ホルモン、病原体若しくは金属イオンなどの刺激に対して差次的に配列の発現を制御してもよい。] [0107] 本発明のいくつかの実施形態における有用なプロモータは、組織特異的又は細胞特異的であってもよい。「組織特異的」という用語は、プロモータに適用されるときには、異なる種類の組織(例えば心臓)において同じ対象ヌクレオチド配列の発現を相対的に欠損させながら、特定種類の組織(例えば筋組織)の対象ヌクレオチド配列の選択的遺伝子発現を導くことができるプロモータを指す。「細胞特異的」という用語は、プロモータに適用されるときには、同じ組織内の異なる種類の細胞において対象ヌクレオチド配列の発現を相対的に欠損させながら、特定種類の細胞において同じ対象ヌクレオチド配列の選択的遺伝子発現を導くことができるプロモータを指す(例えば、Higashibata et al.,J.Bone Miner.Res.19(1):78−88,2004;Hoggatt et al,Circ.Res.91(12):1151−59,2002;Sohal et al,Circ.Res.89(1):20−25,2001;and Zhang et al.,Genome Res.14(1):79−89,2004を参照されたい。)。「細胞特異的」という用語は、プロモータに適用されるときには、単一組織内の領域において対象ヌクレオチド配列の選択的遺伝子発現を促進することができるプロモータも意味する。あるいは、プロモータは、恒常的あってもよく又は制御可能であってもよい。さらに、異なる特異性を有するようにプロモータを修飾してもよい。] [0108] 「恒常的」という用語は、プロモータについて言及するときには、特定の刺激(例えば熱ショック、化学薬品、光など)の非存在下において、プロモータが、操作可能に連結された核酸配列の転写を導くことができることを意味する。一般的に、恒常的プロモータは、実質的にすべての細胞及び組織において、コード配列の発現を導くことができる。RNAiを転写するために用いられるプロモータは、ユビキチン、CMV、β−アクチン、ヒストンH4、EF−1α、又は、pgk遺伝子に対するプロモータなどのようなRNAポリメラーゼIIによって制御される構成的プロモータであってもよいし、RNAポリメラーゼIによって制御されるプロモータ因子であってもよい。他の実施形態においては、CMV、SV40、U1、β−アクチン又はハイブリッドPolIIプロモータなどのPolIIプロモータを使用する。他の実施形態においては、U6プロモータ(例えば、U6−1、U6−8、U6−9)、H1プロモータ、7SLプロモータ、ヒトYプロモータ(hYl、hY3、hY4(Maraia et al.,Nucleic AcidsRes 22(15):3045−52,1994を参照されたい。)及びhY5(Maraia et al.,Nucleic Acids Res 24(18):3552−59,1994を参照されたい。))、ヒトMRP−7−2プロモータ、アデノウイルスVA1プロモータ、ヒトtRNAプロモータ、5sリボソームRNAプロモータ、並びに、これらのプロモータの機能的ハイブリッド及び組合せなどのようなRNAポリメラーゼIIIによって制御されるプロモータ因子を使用する。] [0109] 代替的に、いくつかの実施形態においては、RNAiの誘導性発現を可能にするプロモータを選択することが最も有利である。そのようなプロモータを用いた誘導性発現のための数多くの系は、当業界において知られており、限定されるものではないが、テトラサイクリン反応系及びラックオペレーター抑制系(WO03/022052A1及び米国特許出願2002/0162126A1参照)、エクジソン制御系、又は、グルココルチコイド、プロゲスチン、エストロジェン、RU−486、ステロイド、甲状腺ホルモン、サイクリックAMP、サイトカイン、制御因子のカルシフェロールファミリーによって制御されるプロモータ、若しくは、メタロチオネインプロモータ(無機金属によって制御される)を含む。] [0110] 1つ以上のエンハンサーがウイルス複合プロモータRNAi発現構築物中に存在することによって対象遺伝子の発現を増加させてもよい。本発明の実施形態における使用に適切なエンハンサーは、Apo E HCRエンハンサー、直近に述べたCMVエンハンサー(Xia et al,Nucleic AcidsRes 31−17,2003を参照されたい。)、及び、当業者に知られている他のエンハンサーを含む。] [0111] 本発明においては、プロモータは、少なくとも、哺乳動物細胞においてターゲット遺伝子が発現される期間、及び、該細胞においてターゲット遺伝子の検出可能な発現が開始される直前にも、該細胞において核酸分子の発現を制御できるものであってもよい。プロモータは、恒常的であってもよいし、誘導性であってもよく、発生的に制御されていてもよい。] [0112] 本文脈において、「操作可能な結合で」又は「制御下で操作可能な」、又は、同様の「操作可能にリンクされた」という用語は、構造遺伝子の発現が、細胞内において空間的につながっているプロモータ配列によって制御されることを示すように理解されなければならない。] [0113] いくつかの実施形態においては、RNAi発現カセット内において、又は、複数のRNAi発現カセットを具えるRNAi発現ベクターの異なるカセット間において、可変強度のプロモータを使用してもよい。例えば、2つ以上の強力なプロモータ(PolIII型プロモータなどの)の使用は、例えば、利用可能なヌクレオチド又は転写に必要な他の細胞内構成要素の蓄えを消耗することによって細胞に負担を与える可能性がある。追加的に又は代替的に、いくつかの強力なプロモータの使用は、細胞において有毒レベルのRNAiの発現を生じさせる可能性がある。従って、いくつかの実施形態においては、複合プロモータRNAi発現カセット中の1以上のプロモータは、カセット中の他のプロモータよりも弱くてもよいし、又は、カセット中のすべてのプロモータが、最大レートよりも少ないレートでRNAiを発現するものであってもよい。分子技術を用いて、又は、例えば転写レベルを低下させる制御因子などの他の方法によって、プロモータを修飾してもよいし、又は、修飾しなくてもよい。] [0114] ベクターもさらなる遺伝因子を含んでいてもよい。ベクターに含まれていてもよい因子の種類は、いかようにも限定されるものではなく、当業者が選択することができる。例えば、さらなる遺伝因子は、GFP又はRFPのような蛍光マーカータンパクのための1以上の遺伝子などのレポーター遺伝子;β−ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、β−グルクロニダーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ又は分泌胚性アルカリフォスファターゼなどのような分析が容易な酵素;又は、ホルモン又はサイトカインのように容易に免疫測定を使用できるタンパクを含んでいてもよい。本発明の実施形態において用途を見つけることができる他の遺伝因子は、アデノシンデアミナーゼ、アミノグリコシドリン酸基転移酵素、ジヒドロ葉還元酵素、ヒグロマイシンBリン酸基転移酵素、薬剤抵抗性、などのような細胞において選択的な増殖優位性を与えるタンパクをコードするもの、又は、栄養要求体から失われている生合成能力を与えるタンパクをコードする遺伝子を含む。レポーター遺伝子がRNAi発現カセットと共に含まれていれば、内部リボソーム導入部位(IRES)配列が含まれていてもよい。さらなる遺伝因子は、独立したプロモータ/エンハンサーに操作可能に連結され、制御されてもよい。さらに、バクテリアにおけるベクターの増殖に適した複製開始点を使用してもよい。複製開始点の配列は、通常、ターゲット細胞、組織、及び/又は器官において発現されるRNAi及び他の遺伝子配列から単離されている。そのような複製開始点は、当業界において知られており、pUC、ColE1、2−ミクロン又はSV40複製開始点を含む。] [0115] ここに記載されているベクター又はその一部分もまた、そこで発現される細胞のゲノムに組み込むように構成されていてもよい。当業者は、宿主細胞のゲノムに遺伝子配列又は発現カセットを組み込むために、特定のさらなる遺伝子配列が必要となる可能性があることを認識するであろう。] [0116] 一実施形態において、ベクターの効果は、PLBの転写のレベルを実質的に低下させずに、PLBの機能的発現を低下させることである。代替的に又は追加的に、合成遺伝子を含む遺伝子構築物は、総RNAの定常状態レベルを実質的に低下させない。] [0117] 従って、別の態様においては、本発明は、ここで定義されているような1つ又はそれ以上のRNAi発現カセットを具えるRNAi発現ベクターを意図している。] [0118] 本発明のRNAiは、発現生成物に翻訳するためのターゲット転写物の翻訳の能力の変化を結果的に生じさせるか又は容易にする。発現生成物は通常タンパクであるが、本発明は、遺伝的制御に関与している転写された非コードRNA、eRNA、又は、転写物からスプライシングされたイントロンの形態の発現生成物をさらに意図している。] [0119] 「変化した能力」への言及は、限定されないが、遺伝子操作されていない細胞と比較して、約10%〜約100%、及び、約20%〜約90%といった翻訳レベルの低下を含む。一実施形態においては、ターゲット内因性配列に対応する遺伝子がタンパク生成物に実質的に翻訳されない。変化した翻訳能力は、遺伝子操作されていない細胞においてPLBをコードする遺伝子の発現によって促進される表現型の何らかの変化によって簡易に決定される。本発明の遺伝因子を運ぶ任意の細胞は「遺伝子操作されている」と考えられる。遺伝子変化は永続的であってもよいし又は一時的であってもよい。例えば、細胞が遺伝因子を取り込んで、転写物を生成するときに、一時的な遺伝子変化が生じる。代替的に、遺伝因子は、アンチセンスオリゴヌクレオチド又は高分子核酸の投与などによって、翻訳のレベルを直接的に低下させる。いずれの場合においても、その分子は、細胞が分裂するときになくなってもよい遺伝子抑制機構を促進する。遺伝因子が細胞ゲノムに統合され、該因子が娘細胞に伝わるときに、永続的な遺伝子抑制が生じる可能性がより高い。] [0120] ターゲット遺伝子の発現を調節する目的で、標準的な方法を用いて、細胞、組織又は器官にRNAi又はRNAiの発現構築物を投与してもよい。有用な投与方法には、リポソームで媒介されるトランスフェクション又はトランスフォーメーション、弱毒ウイルス粒子状物質は細菌細胞を用いた細胞のトランスフォーメーション、細胞接合、当業者に知られているか又はAusubel et al(1992)に記載されているトランスフォーメーション又はトランスフェクション処置が含まれる。核酸分子は、とりわけ、例えば、任意にウイルス粒子中のリポソーム内に入れて、裸のDNA若しくはRNAとして、弱毒ウイルス又はウイルス外被に付随して又は輸送タンパク又は金などの不活性担体として、組み換えウイルスベクター又は細菌ベクターとして、又は、遺伝子構築物として、導入してもよい。] [0121] 一実施形態においては、任意の適切なウイルスをベースとするウイルス送達系を用いて本発明のRNAi発現構築物を送達してもよい。さらに、ハイブリッドウイルス系が有用である場合もある。ウイルス送達系の選択は、心筋細胞又はその他のターゲット組織中への送達の効率、系の導入効率、病原性、免疫学的問題及び毒性問題などのような様々なパラメーターに依存するであろう。すべての用途に適している単一のウイルス系が存在しないことは明らかである。本発明において用いるウイルス送達系を選択するときは、ウイルス粒子構築物を含むRNAi発現が:1)再現性良く安定に増殖する;2)高力価に精製することができ;及び、3)ターゲット送達(広く分布していないターゲット組織(例えば心筋細胞)への複合プロモータRNAi発現構築物の送達)を介在させることができる系を選択することが重要である。] [0122] さらに、ハイブリッドウイルス系を用いて2つ以上のウイルス系の有用な特性を組み合わせてもよい。例えば、野生型AAVの部位特異的な組込機構を、アデノウイルスの効率的な内在化特性及び核ターゲット特性と組み合わせてもよい。アデノウイルス又はヘルペスウィルスの存在下において、AAVは、増殖的複製サイクルを受けるが、ヘルパー機能の非存在下においては、AAVゲノムは、染色体19上の特定部位に組み込まれる。AAVゲノムの組み込みは、AAVrepタンパクの発現を必要とする。従来のrAAVベクターは、repを含むすべてのウイルス遺伝子が欠如しているので、該ベクターを染色体19に特異的に組み込むことができない。しかしながら、この特徴を適切なハイブリッド系で利用することができる。さらに、非ウイルスの遺伝因子を用いて、部位特異的な組み換えを可能にする遺伝因子などのようなウイルス送達系において所望の特性を達成してもよい。] [0123] RNAi発現構築物はウイルス粒子中に詰め込まれる。当業界において知られている任意の方法を用いて、ゲノムがウイルスRNAi発現構築物のコピーを具えている感染性ウイルス粒子を生産する。詰め込み細胞系は、限定されないが、293、HeLa、A549、PerC6、D17、MDCK、BHK、Cf2Th、又は、当業者が知っているか若しくは開発した他の系を含む、ウイルスタンパクを発現することができる任意の細胞系であってもよい。パッケージング細胞系の1つは、例えば、ここで言及することによって組み込まれている米国特許第6,218,181号に記載されている。] [0124] 代替的に、必要なウイルスタンパクを安定に発現しない細胞系に2つ以上の構築物を同時に遺伝子導入して、機能性粒子状物質を効率的に生産してもよい。構築物の1つは、ウイルスRNAi発現カセットを具え、他のプラスミドは、細胞が機能性ウイルス(複製及びパッケージ構築物)並びに他のヘルパー機能をもたらすのに必要なタンパクをコードする核酸を具える。] [0125] 詰め込み細胞系、又は、複製及び詰め込み構築物は、エンベロープ遺伝子生成物を発現しない可能性もある。そのような実施形態においては、ウイルスのRNAi発現構築物と同時にトランスフェクトされる独立した構築物に、エンベロープ遺伝子をコードする遺伝子を提供することができる。エンベロープタンパクがウイルス粒子の宿主領域に対して部分的に関与するので、ウイルスが偽型であってもよい。「偽型」ウイルスは、ゲノムが由来するウイルス以外のウイルスに由来するエンベロープタンパクを有するウイルス粒子である。当業者は、ウイルス送達系及びターゲットにする細胞に対して適切な偽型を選択することができる。特異的な宿主領域を付与することに加えて、選択した偽型がウイルスが非常に高い力価で濃縮させるようにしてもよい。代替的に、感染を特定の種類に限定する(例えば、狭宿主性エンベロープは、例えばマウス細胞だけに感染させ、両種性エンベロープは、例えばヒト細胞及びマウス細胞の両方に感染させる。)狭宿主性エンベロープタンパクを用いてウイルスを偽型にすることができる。さらに、肝細胞のためのアシアログリコプロテイン、又は、レセプタで媒介される結合のためのトランスフェリンなどのように、細胞特異的なターゲティングに遺伝子操作したリガンドを用いてもよい。] [0126] パッケージング細胞系における生産後に、RNAi発現カセットを含むウイルス粒子を精製し、定量する(滴定した)。精製方法は、限定されないが、密度勾配遠心分離又はカラムクロマトグラフ法を含む。] [0127] ここで開示されているRNAi又はRNAi発現カセットは、限定されないが、注射又は灌流を介して心臓に適用することによって心筋細胞に導入してもよい。] [0128] 一実施形態においては、RNAi発現カセットを、ターゲット細胞中にインビトロ又はエクスビボで導入し、次いで動物に入れて治療に影響を与えてもよいし、又は、インビボ投与によって生命体、器官又は細胞に直接的に投与してもよい。ウイルス感染による送達が、送達の1つの方法であってもよい。使用し易い任意のプロトコルも用いて、哺乳動物宿主にカセットを具えるベクターを投与してもよく、様々な多数のそのようなプロトコルが当業界において知られている。] [0129] AAVベクターを、注射用製剤、又は、薬学的に許容可能で適切な担体又は賦形剤中に溶解させるか、懸濁させるか若しくは乳化させることによって投与用製剤に調剤することができる。そのような薬学的に許容可能な担体又は賦形剤の例は、油、合成脂肪酸グリセリド、高級脂肪酸のエステル又はプロピレングリコールなどのような水性又は非水溶媒を含み、必要であれば、可溶化剤、等張剤、沈澱防止剤、乳化剤、安定剤及び保存剤などの従来の添加剤を共に含む。] [0130] 一実施形態においては、組み換えアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター及び薬学的に許容可能な担体を含む医薬品組成物であって、前記ベクターは、そのRNA発現生成物がフォスフォランバン(PLB)mRNAの発現を減少させるRNAi発現カセットを含み、細胞においてPLBタンパクの量を減少させ、前記RNAi発現カセットのRNA発現生成物が、緊縮条件下でPLB遺伝子mRNAのヌクレオチド配列にハイブリダイズするヌクレオチド配列を含む医薬品組成物を開示する。] [0131] 一態様においては、RNAi発現カセットが、ヌクレオチド配列5’GGATCCCGTACCTTACTCGCTCGGCTATTCAAGAGATAGCCGAGCGAGTAAGGTATTTTTTGGAAAAGCTT3’(配列番号1)を含む。別の一態様においては、RNA発現生成物が、ターゲット配列5’UACCUUACUCGCUCGGCUA3’(配列番号2)を含む。] [0132] さらに別の態様において、本発明は、RNAi発現構築物を含む医薬品組成物であって、前記RNAi構築物が、PLB若しくは誘導体、それらのオルソログ又はホモログを含むヌクレオチド配列の少なくとも一部に少なくとも70%相同であるヌクレオチド配列を含む配列をターゲットにするRNAiをそれぞれ具える1つ以上のRNAi発現カセットを含む医薬品組成物を意図する。] [0133] 本発明の方法及び組成物は、遺伝子発現の調節において意図された結果又は所望の結果を達成するのに有効な量のRNAi又はRNAiカセットの投与を含む。通常、これを表現型で評価する。薬学分野においてよく知られているように、いくつかの場合においては、最も有効な投与量を決定するために、ある程度のルーティン試行錯誤が必要となることが予想される。] [0134] 本明細書中における「遺伝治療」への言及は、遺伝子療法を含む。本発明によってさらに意図されているた遺伝子治療には、細胞を、除去し、遺伝子操作し、次いで、患者に戻す体細胞遺伝子治療が含まれる。遺伝子治療は、一時的であってもよいし又は永続的であってもよい。好ましくは、前記動物はヒトである。] [0135] 別の一態様においては、本発明は、さらに、ここに記載されているddRNAi発現カセット又はゲノムに組み込まれた形態又はその一部分を具える遺伝子操作された細胞にも及ぶ。一態様においては、前記細胞が哺乳動物細胞である。関連態様においては、前記細胞が、霊長類又はげっ歯動物細胞であり、ヒト細胞又はマウス細胞を含んでいてもよい。] [0136] 適切な医薬薬学懸濁液中にAAVベクターを含む投与用医薬キットも開示する。この態様において、本発明は、前記組み換えアデノ随伴ウイルスベクター又はウイルス粒子の送達用の医薬キットを提供する。前記キットは、所定用量の投与用容器を含んでいてもよい。前記キットは、所定用量の送達のための遺伝子導入ベクター又はウイルス粒子を含む懸濁液であって、(a)RNAi発現カセットを具えるAAV遺伝子導入ベクター又はウイルス粒子、(b)生理学的に適合する担体、を具える懸濁液を含んでいてもよい。] [0137] 本発明は、二本鎖RNA複合体を形成することができ、従って、RNA干渉を誘導することができるRNA分子をコードするRNAi発現カセットをも提供する。そのようなRNAi発現カセットは、細胞内に導入したときに、分子内で二本鎖RNA複合体を形成することができる単一のRNA分子を生じさせるrAAVゲノムの一部としての単一のDNA分子であってもよい。しかしながら、1より多いrAAVゲノム又はRNAi発現カセット又はRNAコード領域を、同時に又は連続的に細胞に導入して、分子間で二本鎖RNA複合体を形成することができる2つ以上のRNA分子を生じさせてもよいことは、以下の説明から理解されるであろう。一般的に、分子内又は分子間であっても二本鎖RNA複合体を形成することができる2つのRNA部位は、その発現が下方制御されるか又は減少される遺伝子又は核酸配列の少なくとも一部分がセンス配列であり、少なくとも一部分がアンチセンス配列である。] [0138] RNAi発現カセットの設計は、本発明の範囲を限定するものではない。RNAi発現カセットを設計するための様々な方法を適用することができ、様々な設計に基づいたRNAi発現カセットがインビボにおいてRNA干渉を誘導することができるであろう。すべてのRNAi発現カセットに共通する特徴は、それらがRNA分子をコードするRNAコード領域を具え、該RNA分子が、分子内又は分子間で二本鎖のRNA複合体を形成することによって、単独で又はその他のRNA分子と組み合わされてRNA干渉を誘導することができるということである。] [0139] 様々な設計原理を用いてその同じ目的を達成することができ、その様々な設計原理は当業者に知られている。例えば、RNAi発現カセットが1つ以上のRNA分子をコードしてもよい。二本鎖RNA複合体は、RNAi発現カセットからのRNA発現の後又はその発現中に、単一の自己相補的RNA分子又は2つの相補的RNA分子のいずれかによって形成されてもよい。核内又は核外で二本鎖RNA複合体の形成を開始してもよい。] [0140] 一態様においては、生理的条件下においてmRNAの分子の少なくとも一部にハイブリダイズすることができる第1RNA部位と、生理的条件下においてその少なくとも一部が第1RNA部位にイブリダイズすることができる第2RNA部位とを具える二本鎖RNA複合体を提供する。一態様においては、第1部位と第2部位とが、同一RNA分子の一部であり、細胞内に存在するような生理的条件下でハイブリダイズすることができ、ハイブリダイゼーションにおいて、第1部位と第2部位とが二本鎖RNA複合体を形成する。] [0141] 別の一態様においては、二本鎖RNA複合体を形成するための直鎖RNA分子であって、前記RNAが、細胞内mRNA分子の少なくとも一部分にハイブリダイズすることができる第1部分と、少なくとも一部分が第1部位にハイブリダイズしてヘアピン二本鎖RNA複合体を形成することができる第2部位と、を具える直鎖RNA分子を提供する。] [0142] さらに別の態様においては、上記方法は、インビボにおける部分的な又は完全な二本鎖特性を有するRNAのAAVで媒介される発現を具える。] [0143] ある実施形態において、本発明は、RNA分子を含むリボザイムを用いて二本鎖RNA複合体を生成し、それによって、二本鎖RNAの生成に伴うある既知の障害を克服してもよい。例えば、リボザイム機能性を用いてポリアデニル化信号を除去し、それによって細胞核からのRNA分子の放出を防ぐか又は最小化してもよい。他の実施形態においては、本発明は、二本鎖RNAの比活性を増強するRNA又はタンパクをコードするRNA分子の一部分の能力に基づいている。この比活性を増強する一部分であって、RNA分子の一部分の一例は、二本鎖RNA複合体の細胞内分解を抑制するHIVTatタンパクをコードする分子の一部である。] [0144] 本発明は、対象の心臓においてPLBの発現を抑制することによって、対象の心不全を治療するか、又は、心室性不整脈を減少させるか、又は、心不全後の対象の生存期間を延長させる方法であって、前記方法は、治療的有効量の医薬品組成物を対象に投与するステップを具え、前記医薬品組成物は、二本鎖RNA複合体を形成することができる少なくとも1つのRNA分子をコードする1以上のRNAi発現カセットを具えるrAAVウイルス粒子を具えており、ハイブリダイズ条件下でその2本鎖RNA複合体の一部分は、PLB遺伝子によってコードされるmRNAの少なくとも一部分にハイブリダイズすることができる。] [0145] 別の実施形態においては、筋小胞体(SR)中へのカルシウム取り込みを増加させる方法であって、筋組織サンプルをアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターに接触させるステップを具える方法を開示している。ここで、前記ベクターは、RNAi発現生成物をコードするポリヌクレオチド配列を含み、前記RNAiは、緊縮条件下でPLB標的遺伝子mRNAのヌクレオチド配列にハイブリダイズするヌクレオチド配列を含み、それによって、筋小胞体におけるカルシウム取り込みを増加させる。] [0146] 本発明の目的において、「哺乳動物対象」は、限定されず、ヒト、チンパンジー及び他の類人猿及び猿類などの非ヒト霊長類を含む任意の哺乳綱;ウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギ及びウマなどの家畜;イヌ及びネコなどの家畜哺乳類;マウス、ラット、ハムスター、ラビット及びモルモットなどのげっ歯動物を含む実験動物を意味する。この用語は特定の年齢や性別を明示するものではない。従って、成人の対象及び新生児の対象、同様に、雄又は雌のいずれをも包含するように意図されている。] [0147] 本発明の目的において、ここで用いられている「患者」又は「対象」又は「患者」という用語は、脊椎動物、特に、家畜、競技動物、霊長類及びヒトを含む(これらに限定されない)哺乳類を指し、特にこの用語はヒトを指す。] [0148] 本発明のウイルス粒子を、ヒト又は非ヒト哺乳動物の患者に投与するために、薬学的に許容可能な送達媒体(すなわち、生理的適合性担体)に懸濁させてもよい。当業者は、選択した核酸移入ベクターの性質に応じて適切な担体を容易に選択することができる。医薬品組成物は治療的有効量の二本鎖RNA複合体を生産するのに充分な遺伝物質を具えているであろう。医薬品組成物は薬学的に許容可能な賦形剤も含むであろう。そのような賦形剤は、組成物を投与される患者に対してそれ自体が有害な免疫反応を誘導せず、かつ、過度の毒性を与えることなく投与できる任意の医薬品も含む。薬学的に許容可能な賦形剤は、限定されないが、水、食塩水、グリセロール及びエタノールなどの液体を含む。薬学的に許容可能な塩、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、硫酸塩などの鉱酸塩;及び、アセタート、プロピオネート、マロナート、ベンゾアートなどの有機酸塩が前記組成物に含まれていてもよい。追加的に、湿潤剤、乳化剤、pH緩衝物質などの補助物質がそのような媒体中に存在していてもよい。他の担体の例には、ラクトース、スクロース、リン酸カルシウム、ゼラチン、デキストラン、寒天、ペクチン、ピーナッツ油、胡麻油及び水が含まれる。この担体の選択は、本発明を限定するものではない。本発明の組成物は、AAVウイルス粒子及び担体に加えて、任意に、保存剤又は化学的安定剤などのその他の従来の薬剤成分を含んでいてもよい。適切な例示的成分には、微結晶性セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリソルベート80、フェニルエチルアルコール、クロロブタノール、ソルビン酸カリウム、ソルビン酸、二酸化硫黄、プロピルガレート、パラベン、エチルバニリン、グリセリン、フェノール、パラクロロフェノール、ゼラチン及びアルブミンが含まれる。薬学的に許容可能な賦形剤の充分な考察は、REMINGTON’SPHARMACEUTICAL SCIENCES(Mack Pub社、ニュージャージ、1991)にみつけることができる。] [0149] 再構成することができる送達系のための溶液、懸濁液及び粉末には、懸濁化剤(例えばゴム、ザンタン、セルロース化合物及び糖)、湿潤剤(例えばソルビトール)、可溶化剤(例えばエタノール、水、PEG及びプロピレングリコール)、界面活性剤(例えばラウリル硫酸ナトリウム、Span、トゥイーン及びセチルピリジン)、保存剤及び酸化防止剤(例えば、パラベン、ビタミンE及びビタミンC、並びに、アスコルビン酸)、凝結防止剤、コーティング剤及びキレート剤(例えばEDTA)などの媒体が含まれる。] [0150] 本発明において、インスタント医薬品組成物の投与は、当業者に知られている様々な方法及び送達システムのいずれを用いても達成又は実行することができる。投与を、例えば、静脈内に、経口的に、インプラントにより、口腔粘膜に、経皮的に、筋肉内に、又は、皮下に行ってもよい。この組成物は、静脈内投与、動脈内投与、脳室内投与又は心臓弁灌流に適している可能性がある。さらに、インスタント医薬品組成物は、理想的には、日常的に使用されている1つ以上の薬学的に許容可能な担体を含む。そのような担体は当業者に知られている。日常的に使用されている多数の担体を使用する以下の送達系は、インスタント組成物の投与のための想定される多数の実施形態の代表的なものに過ぎない。] [0151] 注射可能な薬剤送達系は、溶液、懸濁液、ゲル、ミクロスフェア及び重合体注射剤を含み、溶解度を変化させる薬剤(例えば、エタノール、プロピレングリコール及びスクロース)及びポリマー(例えば、ポリカプリラクトン及びPLGA)などの賦形剤を具えていてもよい。移植可能な系は、棒及び盤を含み、PLGA及びポリカプリラクトンなどの賦形剤を含んでいてもよい。] [0152] コンピュータによる所定の方法を用いて、動物データに基づいて、インスタント医薬品組成物の治療的に又は予防的に有効な量を決定することができる。他の要因のなかでも、選択した輸送ベクターの特質、投与経路、治療する哺乳類(例えば、ヒト若しくは非ヒト霊長類、又は他の哺乳類)、治療する対象の年齢と体重と全身状態、治療する疾患の重症度、治療する心臓内領域の位置、及び、投与様式に依存するであろう。従って、患者に応じて適切な投薬量を変えてもよい。当業者は、適切な有効量を容易に決定することができる。] [0153] 本発明による前記ベクターのインビボにおける送達のための治療的に有効なヒト投薬量は、溶液1ml当たりおよそ1010〜1014の濃度の機能的ベクターを含む約20mlから約50mlの範囲の食塩水であると考えられる。すべての副作用に対する治療的利益を比較検討して投薬量を調整する。さらに別の実施形態においては、AAVの薬学的有効量は、通常、1×105〜1×1050のゲノムrAAV、およそ108〜1020のゲノムAAV、およそ1010〜1016のゲノム、又は、およそ1011〜1016のゲノムAAVの濃度の範囲内である。ヒト用量は、約1×1013のAAVゲノムAAVであってもよい。そのような濃度を、約0.001mlから100ml、0.05〜50ml又は10〜25mlの担体溶液中において送達してもよい。当業者は、用量応答カーブを確立させるルーチン試験によってその他の有効量を容易に確立することができる。] [0154] 投薬処理は、一回量投与工程又は複数回投与工程であってもよい。さらに、被験体に適切になるような用量で投与してもよい。当業者は、適切な投与回数を容易に決定することができる。しかしながら、代替的投与経路を考慮して、又は、すべての副作用に対する治療的利益を比較検討して、投薬量を調整する必要があることもある。組み換えベクターを用いる治療的適応に応じて、そのような投薬量を変更してもよい。] [0155] 目的とする細胞に入り込み、伝達された核酸組成物の充分なレベルの機能性を保証して、過度の副作用を伴わずに又は医学分野の当業者によって決定することができる医学的に許容可能な生理的効果を伴って治療的利益を与えるのに充分な量でベクター粒子を投与する。] [0156] 任意に、特定の実施形態においては、本発明によるAAVによって媒介される送達を、その他のウイルス及び非ウイルスベクターによる送達と組み合わせてもよい。限定されるものではないが、アデノウイルスのベクター、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、単純性疱疹ウイルス(HSV)ベクター及びパキュロウイルスベクターを含むそのような他のウイルスベクターを、容易に選択することができ、当業界で知られている方法によって作製してもよい。同様に、限定されるものではないが、リポソーム、脂質ベースのベクター、ポリプレックスベクター、分子接合体、ポリアミン及び多陽イオンベクターを含む非ウイルスベクターを、容易に選択することができ、当業界で知られている方法によって作製してもよい。これらの代替的経路によって投与する場合、投薬量は上記範囲内であることが好ましい。] [0157] 動物(ヒトを含む)は、二本鎖RNAゲノムを有する病原体に対する自然防御機構を有している。すなわち、細胞質ゾル中に二本鎖RNAが存在すると、インターフェロン関連経路の活性化が誘導され、それによってRNA干渉が抑制される。従って、それらの経路の活性化を回避するためには、二本鎖RNA複合体の長さが30塩基対を越えるべきでなく、30塩基を越えるべきでないことは二本鎖RNA構造体の設計における第1原則である。] [0158] ある実施形態においては、二本鎖RNA複合体の長さは、例えばダイサーに依存する切断によって生じるRNA生成物にサイズが対応するように、少なくとも20、21又は22塩基対長である。] [0159] 以下の実施例によって本発明を説明することを意図しているが、本発明が限定されるものではない。] [0160] 実施例1 材料及び方法 組み換えアデノウイルス及びAAVベクターの開発 インビトロ研究用に偽型rAAV2.6のような、インビボ作業用にrAAV2.9のような組み換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)ベクターを開発した。これらのいずれもが、示されているshRNA発現カセットと共に、同じAAV2ベクターゲノムをそれぞれ含んでいた。また、rAAV2.6にプラスミドAAV6capを用い、rAAV2.9にAAV9capを用いた例外を除き、これらを同様に加工した。一本鎖(「単量体」)rAAVベクターと比較して能力が高いので、すべてのインビトロ研究及びインビボ研究を通して、相補的(「二量体」)rAAVゲノムを用いた。培養した原発性新生児ラット心筋細胞(PNCM)においてPLB発現を効率的にかつ安定に抑制したアデノウイルス(AdV)ベクターであるAdV−shPLBにおいて以前に用いたshRNA発現カセットから、shRNA及びマーカとしてGFPを共発現し、それによって心不全(HF)動物を用いた試験においてベクター追跡を可能にするAdV及びrAAVベクターを開発することが求められた。しかしながら、CMV−GFP成分を含まない元のAdV−shPLBベクターと比較して、構築物の1つであるrAAV−shPLB−CMV−GFPは、非常に低い抑制活性を示した(図1A)。U6−プロモータ−shRNAカセットと反対に進行するCMV−GFPカセットにおける転写と共に、rAAVベクターがGFP制御下でCMVを生成した。CMVプロモータ自体及び/又はGFP配列が抑制活性の欠損に関与しているか否かを試験するために、GFPに変えてイントロン性「スタッファ」配列を用いて、ベクター、rAAV−shPLB−CMV−β−イントロンを構築した。rAAV−shPLB−CMV−GFP(2.30kb長)及びrAAV−shPLB−CMV−β−イントロン(2.55kb長)のいずれもが、カプシド中に詰め込むのに要求されると考えられる長さを有していた。CMV及びGFP又はβ−イントロンのいずれも含まないが、AdV−PLBに由来するオリジナルのU6−shPLBカセットだけを含む第3のベクターは、全体ベクターゲノムサイズが1.15kbであった。しかしながら、この「最小限の」rAAV—shPLBを、おそらく鎖状体として、標準処理中に効率的に詰め込んだ。ベクターマップを図1Cに示す。] 図1A 図1C [0161] ウイルスベクターの生産及び精製 Zolotukin et al(Gen Ther(1999)6(6):973−985)に記載されている2つのプラスミドプロトコルを用いて以下の修飾を加えてrAAV9−shGFP及びrAAV9−shPLBを生産した。リン酸カルシウム沈殿物を加える前に、トリプルフラスコ中で293−T細胞(ATCC、Manassas、VA)を24時間(DMEM、10%のFBS)培養した。72時間後、イオジキサノール密度勾配(Optiprep,Greiner Bio−One社、ロングウッド、フロリダ)によってベンゾナーゼ処理を行った細胞粗溶解物からウイルスを除去し、次いで、ヘパリンアガロースI形親和性クロマトグラフィー(Sigma−Aldrich社、セントルイス、ミズーリ)を行った。最後に、ウイルスをVivaspin20遠心濃縮器50K MWCO(Vivascience社、カールズバッド、カリフォルニア)を用いて遠心分離し、乳酸リンゲル液(Baxter Healthcare社、ディアフィールド、イリノイ)中に調剤し、−80℃で保存した。] [0162] ベクターの品質評価及び滴定 電気泳動後銀染色法によってベクター貯蔵生化学的純度(>95%)を評価した。SYBR(商標)GREEN TAQ READYMIX(商標)(SIGMA社、セントルイス、ミズーリ)及びプライマーであるCMV−F及びCMV−Rを用いたリアルタイムPCR法(LightCycler、Roche Diagnostics)によってゲノムを含む粒子(gcp)を測定した。] [0163] 心筋細胞培養におけるベクター評価 発生学的に調節されるものの、SERCA2a/PLB系が、NRCMにおいて適切に機能し、また、SERCA2a/PLB系をターゲットにするアデノウイルス遺伝子導入法が、胎児心筋細胞及び成人心筋細胞のいずれにおいても成功したので、原発性胎児心筋細胞(NRCM)は、インビボにおいて最終的な試験を行う前のRNAiに基づいたすべての心臓治療の予備的試験に適している。両方の細胞種がインビトロ予備試験に好適であるが、培養心筋細胞と損傷を受けていないインビボの心臓と間に多くの相違があるため、培養細胞におけるRNAに基づいたインビトロ治療研究のすべてがかなり予備的なものになる。] [0164] 細胞培養:生後1日〜3日の子ウィスターラットの心室組織から、原発性心筋細胞(PNCM)及び原発性胎児心筋細胞(NRCM)を調製した。6穴皿においてPNCMを培養した。] [0165] フォスフォランバン抑制の評価:NRCM及びラット心臓におけるPLB、Tnl、NCX、及び、SERCA2aのmRNA及びタンパク発現レベル、並びに、ラット心臓におけるSERCA2a及びNCXタンパクを、(Fechner et al、Gene Therapy(2006)近刊)に記載されているノーザンブロット解析によって測定した。]
权利要求:
請求項1 対象の心不全を治療する方法において、必要性がある対象にRNAi発現カセットを具えるベクターを投与するステップを具え、前記カセットが、対象の心不全を治療するのに有効な量の、発現生成物がフォスフォランバン(PLB)の発現又は活性を低下させるRNAi配列を具えていることを特徴とする方法。 請求項2 請求項1に記載の方法において、前記RNAi発現カセットが配列番号1に記載されているヌクレオチド配列を具えており、それによってベクター投与前と比較して対象の収縮機能を改善することを特徴とする方法。 請求項3 請求項1に記載の方法において、前記ベクターがウイルス粒子であることを特徴とする方法。 請求項4 請求項1に記載の方法において、前記ベクターがプラスミドであることを特徴とする方法。 請求項5 請求項3に記載の方法において、前記ウイルス粒子がパルボウイルスであることを特徴とする方法。 請求項6 請求項5に記載の方法において、前記パルボウイルスがアデノ随伴ウイルス(AAV)であることを特徴とする方法。 請求項7 請求項6に記載の方法において、前記AAVが血清型9であることを特徴とする方法。 請求項8 請求項1に記載の方法において、前記PLBmRNAの発現を阻害することを特徴とする方法。 請求項9 請求項2に記載の方法において、前記配列番号1の配列がAAVの末端反復に隣接していることを特徴とする方法。 請求項10 請求項3に記載の方法において、前記ウイルス粒子ベクターのゲノムが自己相補的であることを特徴とする方法。 請求項11 請求項1に記載の方法において、前記対象が哺乳類であることを特徴とする方法。 請求項12 請求項11に記載の方法において、前記対象がヒトであることを特徴とする方法。 請求項13 組み換えアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターと、薬学的に許容可能な担体とを具える医薬品組成物において、前記ベクターが、発現生成物がそのRNAをフォスフォランバン(PLB)の発現又はPLB活性を低下させるRNAi発現カセットを具えていることを特徴とする医薬品組成物。 請求項14 請求項13に記載の医薬品組成物において、前記RNAi発現カセットのRNA発現生成物が、緊縮条件下においてPLB遺伝子mRNAのヌクレオチド配列にハイブリダイズするヌクレオチド配列を具えていることを特徴とする医薬品組成物。 請求項15 請求項13に記載の医薬品組成物において、前記RNAi発現カセットが配列番号1に記載されているヌクレオチド配列を具えていることを特徴とする医薬品組成物。 請求項16 請求項13に記載の医薬品組成物において、前記RNA発現生成物が配列番号2に記載されているターゲット配列をさらに具えていることを特徴とする医薬品組成物。 請求項17 請求項13に記載の医薬品組成物において、前記組成物が静脈内投与に適していることを特徴とする医薬品組成物。 請求項18 請求項13に記載の医薬品組成物において、前記組成物が動脈内投与に適していることを特徴とする医薬品組成物。 請求項19 請求項13に記載の医薬品組成物において、前記組成物が脳室内投与に適していることを特徴とする医薬品組成物。 請求項20 請求項13に記載の医薬品組成物において、前記組成物が心臓弁灌流に適していることを特徴とする医薬品組成物。 請求項21 請求項13に記載の医薬品組成物において、前記AAVが血清型9であることを特徴とする医薬品組成物。 請求項22 少なくとも1つのAAV末端反復を具えているアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターにおいて、前記ベクターが、発現生成物がフォスフォランバン(PLB)mRNAの発現又はPLB活性を低下させるRNAi発現カセットを具えていることを特徴とするAAVベクター。 請求項23 請求項22に記載のアデノ随伴ウイルスにおいて、前記RNAi発現カセットのRNA発現生成物が、緊縮条件下においてPLB遺伝子mRNAのヌクレオチド配列にハイブリダイズするヌクレオチド配列を具えており、それによって心筋細胞に形質導入することを特徴とするAAVベクター。 請求項24 請求項22に記載のAAVベクターにおいて、前記RNAi発現カセットが配列番号1に記載されているヌクレオチド配列を具えていることを特徴とするAAVベクター。 請求項25 請求項22に記載のAAVベクターにおいて、前記RNA発現生成物が配列番号2に記載されているターゲット配列をさらに具えていることを特徴とするAAVベクター。 請求項26 請求項22に記載のAAVベクターにおいて、前記AAVが血清型9であることを特徴とするAAVベクター。 請求項27 筋小胞体(SR)内へのカルシウム取り込みを増加させる方法において、筋組織サンプルをアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターに接触させるステップを具え、前記ベクターがRNAi発現生成物をコードするポリヌクレオチド配列を具えており、それによって、筋小胞体におけるカルシウム取り込みを増加させることを特徴とする方法。 請求項28 請求項27に記載の方法において、前記RNAiが、緊縮条件下においてPLB標的遺伝子mRNAのヌクレオチド配列にハイブリダイズするヌクレオチド配列を具えており、それによって、心筋細胞の収縮性をベクターとの接触前の収縮性よりも強めることを特徴とする方法。 請求項29 請求項27に記載の方法において、前記ベクターが配列番号1に記載されているヌクレオチド配列をさらに具えることを特徴とする方法。 請求項30 請求項27に記載の方法において、前記RNAiが配列番号2に記載されているターゲット配列を具えていることを特徴とする方法。 請求項31 請求項27に記載の方法において、RNAi発現カセットのRNAコード領域の発現がPLB遺伝子の発現を下方制御することを特徴とする方法。 請求項32 請求項27に記載の方法において、前記RNAiベクターが、PLBターゲット遺伝子のRNAコード領域と少なくとも約90%相同な配列を具えていることを特徴とする方法。 請求項33 請求項27に記載の方法において、前記PLB形質発現を少なくとも10%抑制することを特徴とする方法。 請求項34 請求項27に記載の方法において、前記AAVゲノムが自己相補性であることを特徴とする方法。 請求項35 請求項27に記載の方法において、前記AAVが血清型9であることを特徴とする方法。 請求項36 i)フォスフォランバン(PLB)の発現又はPLB活性を低下させるRNAi発現生成物をコードするポリヌクレオチド配列を具えているアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターと;ii)1又はそれ以上の緩衝剤と;iii)(i)及び(ii)の構成要素の使用についての説明書と;iv)(i)、(ii)及び(iii)の構成要素を具える包装容器と、を具えていることを特徴とするキット。 請求項37 請求項36に記載のキットにおいて、前記RNAiが、緊縮条件下においてPLB標的遺伝子mRNA転写物のヌクレオチド配列にハイブリダイズするヌクレオチド配列を具えていることを特徴とするキット。 請求項38 請求項36に記載のキットにおいて、前記ベクターが配列番号1に記載されているヌクレオチド配列を具えていることを特徴とするキット。 請求項39 請求項36に記載のキットにおいて、前記RNAiが配列番号2に記載されているターゲット配列をさらに具えていることを特徴とするキット。 請求項40 請求項36に記載のキットにおいて、前記AAVが血清型9であることを特徴とするキット。 請求項41 被験体の細胞内カルシウムの調節異常による慢性心不全(HF)のためのRNAiによる治療に対する被験体の感受性を診断する方法において、(a)被験体の筋組織サンプルをアデノ随伴ウィルス(AAV)ベクターに接触させるステップであって、前記ベクターが、フォスフォランバン(PLB)mRNAの発現又は活性を低下させるRNAi発現生成物をコードするポリヌクレオチド配列を具えているステップと;(b)前記筋組織サンプルをAAV9ベクター接触させる前後に組織サンプル中の筋小胞体カルシウムATPアーゼポンプ(SERCA)の活性を測定するステップであって、前記SERCA活性の上昇が心不全のためのRNAiによる治療に被験体の感受性と相関しているステップと、を具えることを特徴とする方法。 請求項42 請求項41に記載の方法において、前記RNAiが、緊縮条件下においてPLB標的遺伝子mRNAのヌクレオチド配列にハイブリダイズするヌクレオチド配列を具えていることを特徴とする方法。 請求項43 請求項41に記載の方法において、前記ベクターが配列番号1に記載されているヌクレオチド配列を具えていることを特徴とする方法。 請求項44 請求項41に記載の方法において、前記RNAiが配列番号2に記載されているターゲット配列をさらに具えていることを特徴とする方法。 請求項45 請求項41に記載の方法において、前記被験体がヒトであることを特徴とする方法。 請求項46 慢性心不全を有する被験者体の生存率を改善する方法において、ベクターを投与するステップを具え、前記ベクターがRNAi発現生成物をコードするポリヌクレオチド配列を具えており、前記RNAi発現生成物が、フォスフォランバン(PLB)mRNAの発現又はPLB活性を低下させ、収縮機能を改善するものであり、それによって被験体の生存を改善することを特徴とする方法。 請求項47 請求項46に記載の方法において、前記RNAiが、緊縮条件下においてPLB標的遺伝子mRNAのヌクレオチド配列にハイブリダイズするヌクレオチド配列を具えていることを特徴とする方法。 請求項48 請求項46に記載の方法において、前記ベクターがウイルス粒子又はプラスミドであることを特徴とする方法。 請求項49 請求項48に記載の方法において、前記ウイルス粒子がパルボウイルスであることを特徴とする方法。 請求項50 請求項49に記載の方法において、前記パルボウイルスがアデノ随伴ウイルス(AAV)であることを特徴とする方法。 請求項51 請求項50に記載の方法において、前記AAVが血清型9であることを特徴とする方法。 請求項52 請求項48に記載の方法において、前記ウイルス粒子が配列番号1に記載されているヌクレオチド配列を具えていることを特徴とする方法。 請求項53 請求項52に記載の方法において、前記配列番号1がAAVの末端反復に隣接していることを特徴とする方法。 請求項54 請求項46に記載の方法において、前記RNAiが配列番号2に記載されているターゲット配列をさらに具えていることを特徴とする方法。 請求項55 請求項46に記載の方法において、前記被験者がヒトであることを特徴とする方法。 請求項56 被験体の心室性不整脈を低減する方法において、RNAi発現生成物をコードするポリヌクレオチド配列を具えているベクターを投与するステップを具え、前記RNAiが心室機能を改善するヌクレオチド配列を具えており、それによって被験者の心室性不整脈を低減することを特徴とする方法。 請求項57 請求項56に記載の方法において、前記ベクターがウイルス粒子又はプラスミドであることを特徴とする方法。 請求項58 請求項57に記載の方法において、前記ウイルス粒子がパルボウイルスであることを特徴とする方法。 請求項59 請求項58に記載の方法において、前記パルボウイルスがアデノ随伴ウイルス(AAV)であることを特徴とする方法。 請求項60 請求項59に記載の方法において、前記AAVが血清型9であることを特徴とする方法。 請求項61 請求項57に記載の方法において、前記ウイルス粒子が配列番号1に記載されているヌクレオチド配列を具えていることを特徴とする方法。 請求項62 請求項56に記載の方法において、前記RNAiが配列番号2に記載されているターゲット配列をさらに具えていることを特徴とする方法。 請求項63 請求項56に記載の方法において、前記被験体がヒトであることを特徴とする方法。
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